【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる6月4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ルハンシク州知事「ロシア軍が橋を爆破」補給路を断つねらいか

ウクライナ東部ルハンシク州のガイダイ知事は4日、現地テレビ局のオンラインインタビューで「セベロドネツクでは激しい戦闘が行われている。ロシア軍は全兵力を投入し、街の大部分が掌握された」と述べ、厳しい戦況が続いていると明らかにしました。

そのうえで「ロシア軍は橋を爆破し、セベロドネツクのウクライナの部隊の増強を食い止めようとしている。彼らは弾薬や援軍が来ることでウクライナ側の抵抗が続くことになるのを恐れている」と述べ、ロシア軍が補給路を断とうとしているとの見方を示しました。

一方で「われわれの部隊はいま、ロシア軍を撃退し、大きな損失を与えている」と述べて、ウクライナ軍も抵抗を続けているとしています。

マリウポリ ウクライナ側「ロシア軍が遺体捜索せず住宅解体」

ロシアが掌握したとしている東部ドネツク州のマリウポリについてウクライナ側の市長の顧問を務めるアンドリュシェンコ氏は4日、SNSに「占領者はがれきを撤去せずに住宅を解体し始めた」と投稿しました。

そのうえで「遺体が建物に残っていればごみとともに捨てられた。破壊された建物の下の犠牲者の捜索に時間をかけることなく証拠の隠滅を図っている」と指摘し、ロシア側ががれきの下に残されている可能性のある遺体を捜索せずに住宅の撤去を進めていると非難しました。

ウクライナ「ザポリージャ原発近くで爆発 油漏れる被害」

ウクライナ国防省の諜報部門は3日、ロシア軍によって掌握されているザポリージャ原子力発電所について「ロシア軍による攻撃で発電所の近くで爆発があり、油が漏れる被害が出た」とSNSへの投稿で明らかにしました。
そのうえで「修復作業が行われたが、予備の部品などがほとんど足りていない。安全で安定した運転を保証することができない危機的な状況だ」として原発の稼働に必要な部品などが確保できない状況に懸念を示しました。
また、ロシア側はザポリージャ原発からロシアに送電する計画を立てているのではないかという見方を示しました。

英国防省「ロシア軍 空爆と砲撃の併用が戦術的成功の鍵」

イギリス国防省は4日、最新の戦況について「ドンバス地域ではロシア軍の軍用機が誘導弾と精密な誘導ができない爆弾の両方を使用した爆撃を行っていて活動が依然として活発だ。空爆と砲撃の併用がこの地域のロシアの最近の戦術的成功の鍵となっている」と指摘しました。
そのうえで「精密な誘導ができない爆弾の使用が増えたことでドンバス地域の市街地が広範囲にわたって破壊されかなりの巻き添えの被害や民間人の犠牲が出ているのはほぼ間違いない」と分析しました。

ロイター通信取材クルーが銃撃受け 3人死傷

ロイター通信は自社の取材クルーが3日、ロシア軍が掌握を目指す東部ルハンシク州で車に乗っていたところ、何者かに銃撃を受け、運転手が死亡し、記者とカメラマンがけがをしたと明らかにしました。
記者とカメラマンはロイター通信に所属していて、腕の骨を折るなどのけがをし、死亡した運転手は親ロシア派の武装勢力に手配された人物だったということです。
3人は激戦が続くセベロドネツクに向かう途中だったということです。
セベロドネツク近郊では先月30日にフランスの民放テレビ局のカメラマンが砲撃に巻き込まれて死亡したばかりです。

ゼレンスキー大統領が着た服 10万ドルで落札 米でオークション

ロシア軍による軍事侵攻が続く中、国の防衛や再建に向けた寄付を募ろうとウクライナ政府などが主催してアメリカでオークションが開かれました。
オークションにはゼレンスキー大統領の直筆のサインが入ったウクライナ国旗や、世界最大級の輸送機でロシア軍に破壊された「アントノフAn-225」の機体の破片などが出品されました。
最も高い値がついたのはゼレンスキー大統領が着たウクライナ伝統の刺しゅうが入ったシャツで10万ドル、日本円でおよそ1300万円で落札されました。

ウクライナ “ロシアは食糧危機を制裁解除の道具に”非難

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機の懸念が強まる中、国連ヨーロッパ本部のウクライナ代表部フィリペンコ大使は3日、AP通信とのインタビューで「ロシアはアフリカなど各地で差し迫っている飢餓の原因は、ロシアによる軍事侵攻ではなく西側の制裁だと主張している」と指摘しました。
そのうえで「食糧輸出を妨げているのはウクライナ側の責任だとするためにロシアはいわば『飢餓のゲーム』を行っている」と述べて、ロシアがアフリカなどでの食糧危機を制裁解除のための道具としようとしているとロシアを非難しました。

米 ブリンケン国務長官「紛争を直ちに終わらせるよう求める」

アメリカのブリンケン国務長官は3日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて100日となったのに合わせて声明を発表し「われわれはプーチン大統領に対し、この紛争を直ちに終わらせるよう重ねて求める。アメリカやその同盟国は、戦争を長引かせてロシアに苦痛を与えようとしているわけではない」として、速やかな停戦を強く求めました。
またウクライナに対しては「アメリカはあなたたちの側に立ち、主権と領土の一体性を守ることを支援していく。ウクライナは勝利する」として防衛のための支援を続ける姿勢を強調しました。

国連事務総長「即時停止を改めて求める」

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて100日となった3日、国連のグテーレス事務総長が声明を発表し「この紛争ではすでに数千人の命が奪われ、計り知れない破壊がもたらされた。数百万人の避難者が生み出されたうえ、受け入れることのできない人権侵害が起きてしまった」と指摘しました。
そのうえで「必要とするすべての人々への人道支援や市民のための安全な避難方法の確保、それに人権の尊重のために暴力の即時停止を改めて求める」と訴えました。
そして「この紛争の解決には交渉と対話が必要だ。外交努力はウクライナとロシア、そして世界のために早ければ早いほうがよい。国連はそのためのあらゆる努力を支援する用意がある」と強調し、交渉を通じた事態の打開に向けて、国連としても役割を果たす決意を改めて示しました。

東部ルハンシク州知事「セベロドネツク 一部地域を奪還」

ウクライナ東部ルハンシク州のガイダイ知事は3日、州内のウクライナ側の主要な拠点セベロドネツクの戦況について「これまでに何度も、『セベロドネツクは占領されロシア軍の手に落ちた』と言われてきたが、それは違う。セベロドネツク全体の70%前後をロシア側に掌握されていたが、われわれはこれまでにおよそ20%を取り返した」として、ロシア側から一部地域を奪還したと明らかにしました。
そのうえで、近く増援部隊が到着する見込みだとし、今後2週間で完全に掌握される可能性があるとの指摘はあたらないとしたうえで、欧米各国にさらなる武器支援を求めました。

ベラルーシ大統領 国連事務総長と電話会談

ベラルーシ大統領府の報道官は3日、ルカシェンコ大統領が国連のグテーレス事務総長と電話で会談したと発表しました。会談では、ロシアのウクライナ侵攻によりウクライナ南部の黒海に面する港から穀物などの輸出が滞っている問題について、ルカシェンコ大統領が、ウクライナ産の穀物をベラルーシを経由して、バルト海の港から輸出することを提案したということです。
ただ、その見返りとして、ベラルーシの製品についてもバルト三国やドイツなどの港から輸出できるようにすべきだとして、国連がウクライナやバルト三国などと交渉する必要があると主張したということです。ロシアと同盟関係にあるベラルーシも欧米から制裁を科され、主要産業である肥料の輸出などが制限されていて、ルカシェンコ大統領が世界的な食糧危機への懸念を背景に制裁の解除を要求した形です。

ロシア モスクワ駐在の米メディアに報復を通告

アメリカ政府によるロシア国営などのテレビ局に対する制裁を受けてロシア外務省は、モスクワに駐在するアメリカメディアの責任者を今月6日に呼び、報復措置の内容を説明すると通告しました。
アメリカ政府は、5月発表したロシアに対する追加制裁で、ロシア国営などのテレビ局3社について「プーチン大統領による残忍な侵略をうそで隠し、プロパガンダの道具にもなっている」などとして、アメリカの企業が中継技術やカメラといった機材などを提供できないようにしました。
ロシア外務省のザハロワ報道官は3日「ロシアのカメラマンやジャーナリストが、アメリカで正常に活動することを許されないなら、最も厳しい対抗措置がとられるのは当然だ」と批判しました。そのうえで「お茶とコーヒーとビスケットを用意して待っている」などと述べ、モスクワに駐在するすべてのアメリカメディアの責任者を今月6日に呼び、報復措置の内容を説明すると通告しました。
プーチン政権は、先月、ロシアの国営テレビのカナダでの放送が禁止された報復だとして、カナダの公共放送CBCのモスクワ支局を閉鎖しました。ロシア議会では、ロシアメディアが外国で非友好的な措置がとられた場合にその国のメディアのロシア国内での活動を禁止したり制限したりする権限を検察に付与する法案が審議されるなど、プーチン政権は、外国メディアに対する締めつけを強めています。

プーチン大統領 “食糧問題 ロシアに責任転嫁“”

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機への懸念が強まる中、ロシアのプーチン大統領は3日に放送された国営のロシアテレビのインタビューの中で「世界の食糧市場で起きている問題についてロシアに責任を負わせようとしている」と批判しました。
そのうえで「ロシアは無条件で安全な航路を確保し、船の安全な入港を保証する。ウクライナから穀物を輸送する問題など存在しない」と述べ、ウクライナ南部の黒海に面する港から穀物の輸出を妨げる意図などはないと主張しました。また、プーチン大統領は、欧米がロシアに対して制裁を科したことが世界的な肥料の値上がりにもつながっているとして欧米を強くけん制しました。

セネガル大統領 プーチン大統領と会談 “アフリカ 犠牲者に”

AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領が3日、ロシア南部のソチを訪れ、プーチン大統領と会談しました。その冒頭、プーチン大統領がアフリカ諸国との関係を強化する考えを強調したのに対し、サル大統領は「アフリカ諸国はウクライナの戦地から離れているが、経済的なレベルで犠牲者となっている」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻の影響でアフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。
また、サル大統領は「ロシアに対する制裁がアフリカへの穀物や肥料の供給の状況を悪化させている」と述べ、ウクライナだけでなく、ロシアからも穀物などを輸入しているアフリカ各国の苦しい立場を強調しました。ロシアによるウクライナ侵攻と欧米の対抗措置は世界経済に大きな影響を及ぼしていますが、事態が収束する見通しは立っていません。

マリウポリ市長「ロシア軍 市民を人間の盾に」

ロシアが掌握したとするウクライナ東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長は3日、オンラインも含めた記者会見を行いました。この中で、第2次世界大戦中、ナチス・ドイツによってマリウポリでは1万人以上が犠牲となったとしたうえで「この100日間で少なくとも2万2000人が殺害された」と述べ、犠牲者の数が先の大戦を大幅に上回っていると指摘しました。
また、市内には今もおよそ10万人の市民が取り残されているとしながら「ロシア軍は私たちが反撃に出るとわかったうえで、市民を人間の盾として使おうとしている」と批判し、国連や各国による速やかな救出が必要だと訴えました。さらに、数千人の市民や兵士がロシア側が支配する地域に移送され、劣悪な環境下で収容されているとして、解放に向けた取り組みを進めるべきだと強調しました。

国連人権高等弁務官事務所 少なくとも4183人の市民が死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月2日までに、ウクライナで少なくとも4183人の市民が死亡したと発表しました。このうち268人は子どもだとしています。
地域別では、▼東部のドネツク州とルハンシク州で2400人、▼首都のあるキーウ州や東部ハルキウ州など、そのほかの地域で1783人の死亡が確認されているということです。また、けがをした市民は5014人に上るとしています。
ただ、国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続いた東部マリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。