生ハムに異変! イタリア産 輸入停止で広がる影響

イタリア産の生ハムが輸入できない異例の事態となっています。

背景にあるのは、イタリアでことし1月に発生が確認された豚の伝染病、ASF=アフリカ豚熱(ぶたねつ)。

これを受けて、日本は、イタリア産の生ハムやサラミなどの輸入を停止しています。

特に生ハムは、イタリアからの輸入が全体のおよそ7割を占めたため影響が大きく、ここに来て在庫が少なくなってきた輸入業者や飲食店などは対応に追われています。

「コロナ禍から回復してきたのに…」飲食店に打撃

「コロナ禍から回復してきて、『さあこれから』というところで、イタリア産の生ハムがなくなった時にどうするか困っています」

こう嘆くのは、大阪・都島区にあるイタリアンレストランのオーナーシェフの吉田誠也さん。

この店では、看板メニューのイタリア・パルマ産の生ハムの食べ放題が存続の危機に立たされています。

今は、輸入が停止される前に仕入れた生ハムを提供していますが、3月ごろから新たな仕入れが難しくなり、在庫は徐々に少なくなってきているといいます。

このため、店では、スペイン産の生ハムに切り替えることを考えていますが、スペイン産はもともとイタリア産より価格が高い上、輸入停止をきっかけに注文が集中し、例年と比べて価格がさらに2割ほど高くなっているということです。

「イタリアン酒場ORA」の吉田誠也さんは「輸入停止と聞いたときはショックでした。お客さんに人気の生ハム食べ放題を今後どうやっていくか、考えていかなければなりません」と話していました。

影響は大手外食チェーンにも

影響は、大手外食チェーンにも及んでいます。

「サイゼリヤ」は、「熟成ミラノサラミ」については在庫がなくなったため販売を終了したほか、「プロシュート」なども在庫がなくなりしだい、販売を終了する予定だとしています。

イタリア産生ハムの輸入停止 背景にあるASFとは

イタリア産の生ハムの輸入停止の背景にあるのは、豚の伝染病、ASFです。

ASFは、日本では発生が確認されていませんが、これまでアフリカやヨーロッパのほか、アジアでも発生が確認されています。

人には感染しないものの、豚が感染すると致死率はほぼ100%とされ、国内で発生した場合、畜産業に大きな打撃となることが懸念されています。

イタリアでは、ことし1月、ASFの発生が確認。

これを受けて、日本は、豚肉や豚肉の加工品などの輸入停止に踏み切ったのです。

輸入業者の中には代替品の確保に追われるところも

このうち、特に影響が顕在化しつつあるのが生ハムです。

農林水産省によりますと、年によってバラツキはあるものの、イタリア産は輸入量のおよそ7割を占めていたため、輸入業者は代替品の確保などの対応に追われています。
兵庫県芦屋市にある輸入会社では、毎年20トンから30トンほどの生ハムをイタリアから輸入してきましたが、輸入停止によってことしはまったく仕入れができていないといいます。

会社では、飲食店などからの注文に応えるためこれまで扱ってこなかった、スペイン産やフランス産の生ハムを別の輸入業者から購入して急場をしのいできました。

新規開拓に努めるもすぐに輸入できるわけではなく…

そうした中で、会社が今、新たに注目しているのは、ヨーロッパ中部の国、スロベニアです。

スロベニア産の生ハムは、これまで日本国内ではあまり流通していませんでしたが、イタリア産と風味が似ていることなどから、輸入開始に向けて担当者が先月から現地に飛んで交渉を行っています。

ただ、新たに輸入するには現地での衛生管理の徹底などが求められるため、すぐに輸入できるわけではないといいますが、なんとか実現にこぎつけたいと考えています。
「プログレス」アレクリア事業部の中川涼事業本部長は「イタリア産生ハムの輸入停止は正直、経営に大打撃です。スロベニア産など、新たな製品を逆に日本に売り込む好機だと切り替えてやっていくしかないです。これからはイタリア産の生ハムが少なくなると思うので輸入停止の措置が早く解除されてほしいです」と話していました。

今後の見通しは

気になる今後です。

農林水産省によりますと、輸入の再開には、ASFの発生が確認されたイタリアが「清浄化」を宣言した上で、日本政府の現地調査や専門家による審査などを経て認められるということです。

ただ、輸入停止の措置が解除される見通しは今のところ立っていないということで、影響は長期化する可能性が出てきています。

(大阪放送局 取材班)