無人駅で乗客の安全をどう守る? 全国約半数の駅が抱える課題

全国各地の鉄道で、駅員がいない「無人駅」が増え続けています。
その数は4564駅(おととし3月末時点)。約20年で400余り増え、全国にある駅の48%に上っています。

乗客が駅を安全に利用できるようにするためには、どうすればいいのでしょうか?

9割超が「無人駅」という県も…

駅員が終日不在の「無人駅」。
2001年度は4120駅でしたが、2019年度には4564駅と、およそ20年で400余り増加。すべての駅の48.2%とほぼ半数を占めるまでに増加しました(国土交通省まとめ)。
少子高齢化に伴う人口減少に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で鉄道の利用客は減っています。鉄道各社が経営の効率化を迫られている事情から、駅の無人化はさらなる加速が懸念されています。

不安の声も… 無人化の影響で

「ホームから落ちてしまったらどうしようと思うこともありますし、心配はあります。できれば無人駅をこれ以上増やしてほしくありません」
こう話すのは、栃木県足利市に住む全盲の富岡宜喜さん(48歳)。

週に3日、JR両毛線に乗って片道45分ほどかけて通勤していますが、最寄りの山前駅は3年前に無人化され、窓口対応などにあたっていた駅員がいなくなりました。
富岡さんは通常点字ブロックをつえや足の裏で確認しながら1人で歩いていますが、以前ホームからの乗車の際、列車のドアと間違えて連結部分に進んで転落しかけたこともあり、駅の無人化でいざという時に駅員がいないことに不安を感じています。

ガイドライン策定へ 求められることは?

こうした中、国土交通省は鉄道会社が取り組むべき課題などを盛り込んだガイドラインの策定を進め、3日に開かれた検討会で最終案を取りまとめました。

車いすの利用者や障害のある人が列車を乗り降りする際は、駅員に代わり運転士や車掌が介助を行うことや、運転見合わせなどについて視覚障害者には音声案内、聴覚障害者には掲示板による案内などで情報発信を充実させることが有効などとする方向性を示しています。

無人駅での障害者などの支援について、自治体や地元の観光協会など外部へ委託することなども利用者の安全につながるとして、すでに導入している地方の現場の事例などを示すとしています。

国土交通省は、検討会で出された意見を踏まえ、早ければ今月にもガイドラインを策定することにしています。

鉄道会社でも対策進む

対策を始めている鉄道会社もあります。
大阪府貝塚市を走る水間鉄道。10ある駅のうち8つが無人駅です。
ワンマン鉄道のため、車いすの利用者が乗る場合、以前は事前に連絡を受けた駅員が2つの有人駅にあるスロープを持ち運んで対応していました。

しかし「長時間ホームで待たされることもあり、暑い日などは負担も大きい」などという声が寄せられたため、4年前からはすべての列車の運転席に「簡易スロープ」を備えることにしました。

この結果、運転士が簡易スロープを設置して車いすの利用者に乗り降りしてもらったあと、片づけるまでの一連の時間はわずか1分ほどに短縮され、ダイヤに遅れが出ることもほとんどなくなったということです。
電動車いすで毎日利用している貝塚市の足立誠さん(36)
「車いすを利用していることで『邪魔だ』と言われたこともありましたが、いまは公共交通機関を自由に利用できるようになり、快適でありがたいです」

水間鉄道 西田康彦 鉄道部長
「かつては対応に苦慮していましたが、簡易スロープの導入で運転士の乗降サポートもしやすくなりました。できるかぎり不便をかけないようにしたい」