香川 うどん店の多く 最大20円程度の値上げ 小麦粉価格上昇で

香川県内のうどん店などで作る組合のほとんどの加盟事業者が、先月までに最大で20円程度の値上げに踏み切っていたことが分かりました。

小麦粉の価格上昇が、県民のソウルフードにも影響を及ぼしていることがうかがえます。

香川県内のうどん店など53の事業者が加盟する「本場さぬきうどん協同組合」は、去年12月に国内の大手製粉メーカーが大幅な値上げに踏み切ったことを受けて、価格をはじめとした影響などについて聞き取りで調査しました。

その結果、加盟するほとんどの事業者がことし1月に大手スーパーで販売するうどんの生麺などを1割程度値上げしたほか、ことし2月から先月にかけては店舗で提供するうどんもそれぞれ7円から20円程度値上げしたということです。

組合によりますと、個別の事業者ごとの値上げはあったものの一斉に値上げに踏み切る例はなかったということで、組合の幹部はNHKの取材に対し「去年からなんとかふんばってきたが、常にギリギリの状態で、もはや値上げせざるをえない状況だった」と話しています。

また組合では、政府からの輸入小麦の売り渡し価格が引き上げられたことなどを受けて、大手製粉メーカーが業務用の小麦粉のさらなる値上げを発表したことに加え、うどん作りには欠かせない塩などの価格も上昇傾向にあるとして、今後も影響が広がる可能性があるとしています。

坂出の製麺所 “2回目の値上げも検討せざるをえない”

香川県坂出市にある創業90年以上の製麺所では、ことし1月に県内のスーパーに卸すうどんの価格を1割値上げしたほか、今月1日には土産用に販売するうどんを43円から108円、率にしておよそ1割値上げしました。

新型コロナの影響で県外からの客足が鈍っていましたが、小麦の価格上昇に加えて容器や包材などの資材も軒並み値上がりしており、今後の価格の動向も見通せないことから値上げに踏み切ったということです。

さらに大手製粉メーカーが小麦粉のさらなる値上げを発表していて、今後も経営状況が改善しなけなれば、この1年で2回目となる値上げも検討せざるをえないとしています。

日の出製麺の三好修さんは「小麦の価格もいつかは下がると思って値上げはせずにいたが、企業努力でどうこうできるレベルではなくなった。消費者の方々にはご迷惑もおかけするが、こうした状況をご理解いただきたい」と話していました。

一方、製麺所に併設する店舗をよく利用するという坂出市の80代の男性は「さぬきの人間としては、うどんがない生活はなかなか想像できない。値上がりはしないほうがいいが、店を取り巻く環境がそうせざるをえない状況でもあるので、多少の値上げは我慢してでも通い続けたい」と話していました。