岸田首相 北方領土めぐり 北方四島の交流事業 代替事業を検討

北方領土問題をめぐって岸田総理大臣は2日、北海道の鈴木知事と面会し、新型コロナや、ロシアによるウクライナへの侵攻の影響で、北方四島との交流事業の見送りが続いていることから、別の事業を検討する考えを伝えました。

北海道の鈴木知事は2日、北方領土の元島民らとともに総理大臣官邸で岸田総理大臣と面会し、北方領土問題の解決に向けた要望書を手渡しました。

そして、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、北方四島の一日も早い返還に向けて、外交交渉を継続することや「ビザなし交流」を含め見送りが続いている、北方四島との交流事業に代わる別の事業への支援などを要望しました。
これに対し岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序を揺るがす事態であり、国際社会と一致して厳しいメッセージを発出しなければならない。一方で高齢の元島民の思いに何とか応えなければならないという、私や政府の思いに全く変わりはない」と述べました。

そのうえで「交流事業が当面実施できないなかで、別の事業を考えていかなければならない」と伝えました。

北海道 鈴木知事「前向きに受け止めている」

北海道の鈴木知事は記者団に「岸田総理大臣からは『交流事業に代わるものとして、何ができるかしっかりと考えていく』という話があり、前向きに受け止めている。元島民の皆さんの思いに沿って、何か1歩でも実現できるように取り組んでいく必要があるので期待したい」と述べました。

松野官房長官「北方領土は わが国固有の領土だ」

松野官房長官は午後の記者会見で「北方領土はわが国が主権を有する島々であり、わが国固有の領土だ。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのがわが国の一貫した立場だ」と述べました。