日本で発見!新種の“変わった”恐竜

日本で発見!新種の“変わった”恐竜
2022年5月、北海道大学などの研究グループが、20年以上前に日本で見つかっていた化石が、新種の恐竜のものだったと発表しました。かつて恐竜の化石なんて出てこない“恐竜の空白地帯”と思われてきた日本。実は、今や世界でも指折りの恐竜化石のホットスポットなんです。
今回、発表があった化石から、日本にどんな恐竜がいたことがわかったのか、発見の意義とともにひもときます。

問題に挑戦!

まずは恐竜に関する入試問題を見てみましょう。
問題
恐竜の化石が見つかる年代の地層を選びなさい

ア 1万年前
イ 10万年前
ウ 100万年前
エ 1,000万年前
オ 1億年前
カ 10憶年前

(青山学院中等部 2018年 理科)
正解は、オの「1億年前」です。

最初の恐竜が現れたのは、今から2億3,000万年前、そして6,600万年前に、ほとんどが絶滅しました。

日本の海岸に恐竜がすんでいた!

今回、新種の恐竜のものとわかった化石。2000年に、北海道中川町で地元の化石愛好家が見つけたものでした。特徴的だったのは、10センチを超える大きな爪の化石です。
この化石から、どんな恐竜像がみえてきたのか。全長3メートル以上で、長い爪を持っていたとみられます。
その姿を現代の北海道大学に再現してみました。
新種であると発見したのは、北海道大学総合博物館の小林快次教授です。コロナ禍で海外での発掘調査ができない間、今までに見つかっていた化石を改めて調べたところ、発見に至ったといいます。
現在は海外での研究を再開している小林さんが、モンゴルからインタビューに応じてくれました。
小林さん
パラリテリジノサウルス・ジャポニクスという名前を付けました。パラリというのは海の近く、海岸という意味があり、日本の海岸にすんでいたテリジノサウルスという意味です。世界中から恐竜の化石が見つかっていますが、そのほとんどが内陸の環境なんです。世界中で分からなかった海岸の風景というのが、この日本の恐竜で描けるようになったのが非常に画期的です」

“変わった恐竜”だった

海岸にすむこの恐竜は、どんな生態だったのでしょうか。爪の化石を分析した結果、テリジノサウルス類と判明しました。テリジノサウルス類は、「獣脚類」と呼ばれる大きなグループに分類されます。
ここで、クイズです。
問題
この獣脚類、ほかにどんな恐竜がいると思いますか?

A 大きな角を持つトリケラトプス
B 凶暴な肉食恐竜ティラノサウルス
C 長い首を持つブラキオサウルス
正解は、ティラノサウルスです。
このグループは、主に二足歩行で、ほとんどがティラノサウルスのように“肉食”の恐竜です。しかし、今回の恐竜は違ったといいます。
小林さん
「パラリテリジノサウルスというのは、ベジタリアンになってしまった、植物を食べる恐竜になってしまったという変わった恐竜なんですね」
このことを裏付けたのが、爪の付け根部分にあった「出っ張り」。ほかの獣脚類には見られない特徴です。
小林さん、受話器を爪に見立てて説明してくれました。
小林さん
「この爪の下に出っ張りがあって曲げようと思っても、この出っ張りが引っ掛かって指が曲がりません。爪がほとんど動かないというのが、今回のパラリテリジノサウルスの新しい特徴です」
通常、肉食の獣脚類の狩りでは、爪を大きく振り上げ、すべての関節を動かしスピードをつけて振り落とします。爪が動かないということは、狩りに使われていたわけではないと考えられます。
では、再びクイズです。
問題
動かない爪は何のために使われていたでしょうか?

A 大きな体をかくため
B 相手を威嚇するため
C ものを手繰り寄せるため
正解は、ものを手繰り寄せるため。
木の枝を口元に手繰り寄せるため、熊手のように爪が使われていたとみられているんです。
小林さん
「このテリジノサウルスはおなかがポテッと出ていて、走るのが得意じゃない恐竜です。なるべく動かないで、近くにある葉っぱなどを手繰り寄せるため、爪が動かず固定されることで、しっかり手繰り寄せられるような仕組みになったんじゃないかなと思っています」
強くて肉食の恐竜が進化の最終形というイメージがあります。しかし、小林さんによりますと、肉食だった恐竜が植物を食べるようになったのも、進化なんだそうです。
小林さん
「環境と共存できたものたちが進化できたものなんじゃないかと思います。今回のテリジノサウルスは、植物食に変わることで、アジアで大繁栄できたということを示しているんじゃないかなと思っています」

恐竜は今も生きている!?

テリジノサウルス類をはじめ、恐竜は進化を続けながら、およそ1億6,000万年にわたって繁栄しました。しかし、6,600万年前、隕石(いんせき)の衝突によって、地球に長い冬が訪れます。
進化を遂げてきた恐竜も、ここまでの急激な変化には適応しきれなかったのか、小林さんに尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
小林さん
「鳥に形、姿を変えた恐竜たち、体に羽毛を生やして翼を持った恐竜たちというのは、隕石衝突を生き延びて今でも生きているんです。恐竜はそうやって今でも生存しているということです。だから焼き鳥ではなく、焼き恐竜を食べているんです。目玉焼きも恐竜の卵です」
調べてみたら、福井県立恐竜博物館のホームページにも「現在は鳥類も獣脚類の一部に含まれると考えられています。ですので、現在も1万種ほどの恐竜類が世界中にいることになります」と書かれていました。
こうやって生き物がさまざまな種類に進化することについて、小林さんはこう話してくれました。
小林さん
「仮に何か環境の変化があって皆いなくなっても、いろいろな種類に進化できていれば、生き延びるものが実は出てくるので、多様性を維持することはすごく大事なことなんです」
最後に、新種の発見につながった化石の「出っ張り」について、20年余り前に化石が見つかった当初は分からなかったのか尋ねました。これについて、小林さんは「この20年で研究が進み、自分自身もさまざまな化石を見てきた今だからこそ“出っ張り”に気付けた。必要な20年だった」と話していました。
近年、次々と新しい化石が発見されている日本。恐竜研究の最先端になるなか、今後も日本発の新たな研究成果に注目してみたいですね。
「週刊まるわかりニュース」(日曜日午前8時25分放送)の「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を鎌倉キャスターと考えていきましょう。
コーナーのホームページでは、これまでのおさらいもできます。
下のリンクからぜひご覧ください。