ロシア国債 一部の利子未支払いと認定 金融市場から締め出しも

世界の主要な金融機関の代表などでつくる委員会は1日、4月に期限を迎えたドル建てのロシア国債をめぐって一部の利子の支払いが行われていないと認定しました。市場でデフォルト=債務不履行が起きたとみなされ、国際金融市場からロシアを締め出す動きを決定づける可能性があります。

世界の主要な金融機関の代表などでつくる「クレジットデリバティブ決定委員会」は1日、4月4日に期限を迎えたドル建てのロシア国債をめぐって「一部の利子が支払われていない」とする投資家の主張を認める判断をしました。

この国債の利払いや償還をめぐってはロシア政府がいったんルーブルでの支払いを宣言するなど曲折があって支払いが遅れ、投資家は支払いが遅れたことに伴う利子を受け取れると主張していました。

今回の判断によって市場でロシア国債にデフォルト=債務不履行が起きたとみなされ、国際金融市場からロシアを締め出す動きを決定づける可能性があります。

欧米各国による厳しい制裁措置によってデフォルトは避けられないとの見方が広がっていたことなどから、専門家の間では金融市場への直接的な影響は限られるとの見方が大勢です。

一方でロシアの政府や企業にとっては資金調達の手段が狭まることになり、ロシア政府は財政危機に陥った1998年とは状況が異なり、支払う資金も意思もあるなどと主張してきました。

ロシア これまでの反応は

ロシア国債をめぐってデフォルト=債務不履行が起きるかについてロシア大統領府のペスコフ報道官は5月30日、記者団に対し「われわれの立場はデフォルトに認定される客観的な理由など存在しないというものだ。ルーブル建てであろうとわれわれには資金があり、支払う意思がある」と述べ、反発していました。

またロシアのシルアノフ財務相も5月26日、記者団に対しロシアが財政危機に陥ってデフォルトとなった1998年とは状況が違うとしたうえで「資金もあり支払う意思もある。今の状況は敵対する国が人為的に作り出したものだ。何の影響もなく何も変わらない」と述べ、ロシアや人々の生活への影響はないと強調していました。

ロシア国債 一部で利子未払い

ロシアの中央銀行によりますと海外の投資家が保有するロシア国債の残高は、去年12月末時点でおよそ620億ドルです。

このうち外貨建ての国債はおよそ200億ドル、日本円にしておよそ2兆6000億円で、今回、この一部で利子の支払いが行われていないと認定されました。

日本では、公的年金の積立金を運用しているGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人が、去年3月末時点でロシア国債をおよそ280億円保有しています。

ただ、市場でデフォルト=債務不履行が起きたと見なされても、日本の金融機関全体でも保有額はそれほど多くはないため、市場関係者の間では金融システムへの影響は限定的だという見方が多くなっています。

一方、国債以外のロシア向け融資全体に影響が広がることへの懸念もあります。

国内の大手金融グループの三菱UFJと三井住友、それにみずほの3社によりますと、ロシア向けの貸し出しなどの与信残高は、ことし3月末の時点で合わせて1兆円余りにのぼります。

各社は、昨年度の決算でロシアに関連する融資をめぐって貸し倒れに備えた費用を計上するなどしたため、業績への影響が3社で合わせて3500億円を超えたとしています。

今回の認定は、ロシアの対外的な信用力の低下や世界経済からの孤立を改めて示した形で、ウクライナ情勢が長期化する中、経済への影響も不透明感が強まっています。

官房長官「日本の投資家に及ぼす直接的損失は限定的」

松野官房長官は、2日午前の記者会見で「日本からのロシア向けの債権投資が対外債権投資全体に占める割合は限定的で、ロシア国債の動向が金融機関を含む日本の投資家に及ぼす直接的な損失は限定的だ。引き続き緊張感を持って市場動向や経済状況を注視していきたい」と述べました。

専門家 “ロシア経済は縮小せざるをえず大打撃に”

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「世界各国の政府債のうち、ロシア国債が占める割合は、0.4%にとどまり、規模は非常に小さい。また経済制裁の影響でロシア国債の価格は大幅に下落し、投資家の間ではすでに損失処理の動きが進んでいるため、世界の金融システムに与える影響は限定的だ」と述べています。

その一方で「デフォルトは、市場からの信頼の失墜を意味し、政府にとって不名誉だ。特にプーチン大統領は、ロシア国債がデフォルトに陥った1998年の2年後に大統領に就任し、その後の経済の立て直しの成果を、国民に対して誇ってきた。再度のデフォルト認定は、その成果や評価を否定し、政権に逆風になる」と指摘しています。

また今後については「ロシアは、債務返済の意思と能力があるにもかかわらず欧米の経済制裁で支払いを邪魔されたと主張するとみられ、問題は長期化するだろう。しかし軍事侵攻で財政が悪化する中、海外からの資金調達の道が閉ざされればロシア経済は縮小せざるをえず、将来にわたって経済成長の芽も奪われて、大きな打撃になる」と話しています。