ウクライナ情勢 ロシア軍 ルハンシク州の完全掌握へ攻勢

ロシア軍はウクライナの東部ルハンシク州の完全掌握に向けて引き続き攻勢を強めていて、アメリカのシンクタンクは「ロシアは東部の占領という象徴的な利益を得るため、戦力を集中させている」と分析しています。

ロシア国防省は1日、ウクライナの東部ドネツク州でウクライナ空軍のミグ25戦闘機を撃墜したほか、部隊などをミサイルで攻撃したと発表しました。

またロシア軍は完全掌握を目指す東部ルハンシク州で、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。

セベロドネツクについてイギリス国防省は1日「現在、街の半分以上がロシア軍によって占拠されているとみられる」とする分析を示し、ルハンシク州のガイダイ知事は「ロシア軍はセベロドネツクのおよそ7割を統制下に置いている」とSNSで明らかにしています。

ロシア軍の動きについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5月31日の分析で「ロシア軍はセベロドネツクなどに戦力を集中しているため南部ヘルソン州がぜい弱となり、ウクライナ軍の反撃が続いている。プーチン大統領は東部の占領という象徴的な利益を得るため、戦力を集中させている」と指摘しました。
一方、アメリカのバイデン政権はウクライナに対して7億ドル、日本円でおよそ900億円の追加の軍事支援を行うと発表し、より精密な攻撃が可能だとされる「高機動ロケット砲システム」などが供与される予定です。

供与する弾薬の射程はおよそ80キロとしていて、バイデン政権の高官は「ロシア国内の標的に向けた攻撃には使わないとの約束をウクライナ側から取り付けている」と説明し、ロシアを過度に刺激しない思惑があるものとみられます。

アメリカの軍事支援の動きについてロシアのラブロフ外相は1日、訪問先のサウジアラビアで記者団から「ウクライナの紛争に第三国を巻き込む危険性があるか」と問われたのに対し「もちろん、そうした危険性がある」と述べ、軍事支援はウクライナ以外の国も巻き込んだ紛争に発展しかねないと強くけん制しました。