東部 ルハンシク州知事 “ロシア軍が約7割を統制下に”

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州のウクライナ側の拠点、セベロドネツクへの攻勢を強め、地元の州知事は6月1日、「ロシア軍がおよそ7割を統制下に置いている」と述べました。
こうした中、アメリカのバイデン政権はウクライナに対して、より精密な攻撃が可能だとされる「高機動ロケット砲システム」の供与など追加の軍事支援を発表し、ロシア側は強く反発しています。

ロシア軍は、ウクライナ東部2州の掌握をねらい、特にルハンシク州でウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。

イギリス国防省は、6月1日に公表した分析で「ロシア軍は5月30日から31日にかけてセベロドネツクの中心部に接近し、戦闘が激化した。現在、街の半分以上がロシア軍によって占拠されているとみられる」として、セベロドネツクの半分以上をロシア軍が掌握したという分析を示しました。

また、ルハンシク州のガイダイ知事は、1日「ロシア軍はセベロドネツクのおよそ7割を統制下に置いている」とSNSで明らかにしました。

そのうえで「私たちは欧米諸国の兵器を待って反撃の準備をしている」と述べ、欧米側の軍事支援を受けて徹底抗戦を続ける考えを強調しました。

米 バイデン政権 “ウクライナに7億ドルの追加の軍事支援”

こうした中、アメリカのバイデン政権の高官は31日、ウクライナに対して7億ドル、日本円でおよそ900億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

この中には、これまで供与してこなかった「高機動ロケット砲システム」と呼ばれる兵器が含まれ、より精密な攻撃が可能になるとされています。

“射程80キロ”に米の思惑

ただ、今回、供与する弾薬の射程はおよそ80キロで、政権高官は「ロシア国内の標的に向けた攻撃には使わないとの約束をウクライナ側から取り付けている」とするほか、バイデン大統領もニューヨーク・タイムズへの寄稿で、「われわれはウクライナが国境を越えて攻撃することを後押しするわけではない」と述べるなど、ロシアを過度に刺激しない思惑があるものとみられます。

一方、これに対し、ロシア外務省のリャプコフ外務次官は6月1日、国営のロシア通信に「前例のないことで、危険だ。ウクライナへの兵器の継続的な供給は、衝突に発展する危険性を増大させることになる」と述べ、アメリカとロシアとの間の直接の軍事衝突にもつながりかねないと警告し、強く反発しています。