ウクライナ東部 セベロドネツクでロシア軍攻勢 激しい市街戦に

ロシア軍は、ウクライナ東部ルハンシク州でウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。
地元の市長はNHKのインタビューに対し、激しい市街戦によって住民が避難できない状況に陥っていることを明らかにしました。

ウクライナ東部2州の掌握をねらうロシアの国防省は5月31日、各地をミサイルで攻撃し、2州のうちドネツク州で指揮所や弾薬庫などを破壊したと発表しました。

またロシア軍はもう1つのルハンシク州でも、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。

セベロドネツクのストリュク市長は31日、NHKのオンラインインタビューに応じ「敵の砲撃は住宅や公共施設など避難に使えるすべての場所を標的にしている。市街地の真ん中で戦闘が行われているため、住民を移動させることも不可能だ」と述べ、激しい市街戦によって住民が避難できない状況に陥っていることを明らかにしました。

さらに「薬や食料、生活必需品を運ぶルートはウクライナ軍への支援ルートとみなされ、常に砲撃を受けている状態だ」と述べたうえで、数日後にはあらゆるものが不足するという見通しを示しました。
イギリス国防省は31日「ロシア軍がセベロドネツクを掌握すれば、さらにクラマトルスクなどの掌握を目指すことになる」として、ドネツク州の主要都市クラマトルスクなどが次の標的になると分析しています。

一方、ウクライナ南部の黒海に面した港がロシア軍に封鎖され、穀物などの輸出ができなくなっているとして食糧危機への懸念が高まる中、ロシアのラブロフ外相は31日、中東のバーレーンで会見し「ロシアは、穀物などの輸出が妨害されないことを保証する措置をとってきた。欧米側は、ロシアの船が港に入れないようにしたり、物流や金融網を遮断したりするなど、数々の人為的な問題を引き起こしている」と主張し、欧米側によるロシアへの制裁の解除を求めました。

また、トルコのチャウシュオール外相は31日、ラブロフ外相が6月8日にトルコを訪れ、黒海の海上輸送ルートについて協議することになったと明らかにしました。

チャウシュオール外相は「穀物を安全に運び出すためには回廊を設けたり、監視体制を構築したりしなくてはいけない」と述べ、ロシアとウクライナ、それに国連とトルコの4者で調整していきたいとしています。