中国 米との関係悪化 ロシアとは軍事面で協力深化 防衛研分析

防衛省のシンクタンク、防衛研究所は東アジアの安全保障情勢に関することしの報告書で、中国が国際秩序に対する挑戦を続け、アメリカなど民主主義国との関係を悪化させた一方、ロシアと軍事面での協力関係を深化させたと分析しています。

報告書では、中国について「建国100周年となる2049年までに『社会主義現代化強国』を完成させる目標の実現に向けて、習近平国家主席への権力の集中を強化した」などと指摘しています。
そのうえで、ルールに基づいた国際秩序に対する挑戦を続け、アメリカなど民主主義国との関係を悪化させた一方、ロシアと軍事面での協力関係を深化させ、新型コロナワクチンの支援などを通じて発展途上国との関係強化にも力を入れたと分析しています。

そして、日本周辺の上空をロシア軍の爆撃機と共同飛行したほか、台湾への軍事的な圧力を強化していると指摘しています。
また、北朝鮮について、新型の弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどミサイル能力を多様化させていて、軍事技術の向上を目指すこうした活動は、今後も継続されると分析しています。

一方、日本の防衛費について、中国・韓国・台湾を含めた東アジアの4つの国と地域の中で、2000年に38%を占めていたものが、おととしは17%に低下したとして、十分な防衛力を維持するために増やす必要があると指摘しています。

ロシア ウクライナの能力見誤る 長期化も

防衛省のシンクタンク、防衛研究所はウクライナ情勢に関する報告書をまとめ、ロシア軍がウクライナの能力を見誤って侵攻を開始したと分析し、長期化を想定せざるをえないと指摘しています。

「ウクライナ戦争の衝撃」と題した報告書では、ロシアのプーチン大統領がウクライナの統合にこだわり、侵攻を開始したものの、ウクライナの能力を見誤り、ロシア軍の作戦準備も不十分だったと分析しています。

そして、長期化を想定せざるをえないと指摘し「明白な侵略戦争がウクライナや友好国を団結させている」としています。

また、アメリカについて、ロシアに関するインテリジェンス情報をあえて公開するなど、「戦略的コミュニケーション」を積極的に活用した一方、アメリカ軍の派遣は一貫して否定し「中国との競争を最も重視するバイデン政権の政策に変更はみられない」と指摘しています。

一方、中国について「ロシアによる軍事侵攻を想定してはいなかった」と指摘したうえで、アメリカとの競争関係が深まっていることを背景に、ロシアとの協力関係は保たれると分析しています。