岸田首相 “ロシア軍事侵攻による食糧危機 貢献のあり方検討”

ウクライナ情勢をめぐり、岸田総理大臣は参議院予算委員会で、ロシアによる軍事侵攻によって世界の食糧の安定供給が阻害され人道上の危機が生じているとして、現地の状況を注視しながらどのような貢献が可能か検討する考えを示しました。
補正予算案は午後も質疑が行われ、委員会での採決を経て夕方の参議院本会議で可決・成立する見通しです。

国会では、参議院予算委員会で今年度の補正予算案の2日目の質疑が行われています。

▼公明党の伊藤孝江氏はウクライナ情勢をめぐり「ウクライナは小麦やトウモロコシなどの輸出大国だが、ロシアによる海上封鎖で、アフリカなどの発展途上国では深刻な食糧不足が懸念されている。人道上の立場から、今後、ウクライナでの船舶の交通を確保するため、日本政府として尽力すべきではないか」と求めました。

岸田総理大臣は「ロシアによる侵略はウクライナの食料生産や流通に重大な支障を生じさせ、世界の人々への食糧の安定供給を阻害し、人道上の危機も生んでいる。海上輸送については、陸上輸送も含めてヨーロッパ諸国でいろいろな議論が行われている。なかなか現実は厳しいようだが、ヨーロッパや現地でのさまざまな取り組みを注視したうえで、わが国としての貢献のあり方を考えたい」と述べました。

▼国民民主党の伊藤孝恵氏は新型コロナ対策でのマスクの着用をめぐり「先週末は各地で最高気温が35度以上の猛暑日となり、環境省と気象庁が『熱中症警戒アラート』を出すほどだったが、皆がマスクを着用して歩いていた。屋外では距離が十分な場合などはマスク着用が不要だという政府の発信が国民に届いているとは言いがたい」とただしました。

岸田総理大臣は「いまは平時への移行時期で、最大限の警戒をしながら経済社会活動をできるだけ取り戻す努力をしている。基本的な感染対策としてマスクの着用は引き続き重要だと認識しているが、国民の中に混乱や不安があるならば、政府の考え方をより明確に説明する努力は続けていかなければならない」と述べました。

また、▼新型コロナの影響を受けた人たちへの支援をめぐり、岸田総理大臣は来月末が期限となる◇事業主に対する雇用調整助成金の特例措置と◇休校となった場合などに保護者が有給休暇を取得しやすくするための助成金について、いずれも延長する方向で調整し、速やかに公表する方針を示しました。

予算委員会では、午後も質疑が行われたあと補正予算案の採決が行われることになっていて自民・公明両党と国民民主党の賛成多数で可決される見通しです。

そして補正予算案は、31日夕方の参議院本会議でも採決が行われ、可決・成立する運びです。