ロシア軍 東部で攻勢強める ウクライナ軍は南部で反撃転じたか

ロシア軍は、完全掌握を目指すウクライナ東部ルハンシク州で攻勢を強めていて、これに対し、ウクライナ側は南部ヘルソン州の一部で反撃に転じているとみられます。
一方、ロシアのプーチン大統領は、停戦に向けた仲介を行っているトルコのエルドアン大統領と電話で会談しましたが、暗礁に乗り上げている停戦交渉が再開するかは不透明です。

ロシア国防省は、30日にミサイルなどの攻撃で、ウクライナ東部のドネツク州で武器庫や弾薬庫などを破壊したほか、南部ミコライウ州では造船所の施設を攻撃し装甲車両などを破壊したと発表しました。

またロシア軍は、完全掌握を目指す東部ルハンシク州で、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲しようと攻勢を強めています。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は29日に「われわれはより多くの近代的な兵器を手に入れようとしている。最後にはわれわれが平和を取り戻す」と述べ、欧米からの軍事支援を受けて徹底抗戦する決意を強調しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日の分析で「ロシア軍のウクライナ東部での作戦はほぼ全面的にセベロドネツクに集中している」と指摘しています。

一方、ロシアが全域を掌握したと主張し、ロシアによる支配の既成事実化を進める南部ヘルソン州について「ウクライナ軍がヘルソン州とミコライウ州の州境の近くで限定的に反撃に成功し、ロシア軍を守勢に追いやった。ロシア軍は作戦が混乱し、ヘルソンへの援軍を強いられる可能性がある」として、一部でウクライナ側が反撃していると分析しています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は、30日、トルコのエルドアン大統領と電話で会談し、ロシア大統領府によりますと「プーチン大統領は、トルコとの協力のもと、ウクライナ南部に面する黒海やアゾフ海の港から穀物の輸出も含め、海上輸送を促進する用意がある」と伝えたということです。

世界的な食糧危機への懸念が強まる中で、ロシアが黒海の海上封鎖の解除を示唆した形ですが、一方で「ロシアへの制裁が解除されたら、多くの農産物や肥料を輸出することができる」と強調していて、制裁の解除を改めて求めたものとみられます。

またトルコ大統領府によりますと、エルドアン大統領は「ロシアとウクライナに国連を交えて、イスタンブールで会談する準備ができている」と伝え、双方の仲介役として対話を促進したい考えを示しました。

ただ、プーチン大統領の反応は伝えられておらず、暗礁に乗り上げている停戦交渉が再開するかは不透明です。