EU首脳会議始まる ロシア産石油の輸入禁止などめぐり協議

EU=ヨーロッパ連合は30日から首脳会議を開き、ロシア産の石油の輸入禁止などについて協議しています。加盟国に立場の違いがある中、今回は、船で輸送される石油に対象を限る方向で政治的な合意を目指しているということで、協議の行方が注目されています。

EUは30日から2日間の日程でベルギーのブリュッセルで首脳会議を開き、ウクライナへの支援や、ロシアに対する追加制裁として検討されているロシア産の石油の輸入を年内に禁止する案などについて協議しています。

石油の輸入禁止をめぐっては、パイプラインでロシアから石油を調達しているハンガリーが、自国のエネルギー確保が脅かされるとして強く反対してきました。

EU高官によりますと、今回の首脳会議では、輸入禁止の対象をパイプラインではなく船で輸送される石油に限る方向で政治的な合意を目指していて、一部の加盟国には猶予期間なども認められる見通しだということです。

しかし会議の前、記者団の取材に応じた首脳などからは「議論は続いている」という慎重な声が聞かれ、ハンガリーのオルバン首相も「まだ解決したわけではない」と述べました。

石油の輸入禁止を含む制裁案は今月4日に加盟国に示されてから4週間近くたっており、今回、首脳たちが立場の違いを超えて合意できるのかが注目されています。

“速やかに追加制裁を” ゼレンスキー大統領がビデオメッセージ

ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、今回の首脳会議にあわせてビデオメッセージを寄せ「ロシアの侵攻に対して、より強い制裁が必要であることは明白だ」と述べ、ロシアへの追加制裁を速やかに行うよう求めました。

そのうえで、石油の輸入禁止をめぐってはハンガリーが強く反対するなどEU加盟国に立場の違いがあることについて「ヨーロッパでのすべての争いを終わらせなければならない。それはロシアによるヨーロッパ全体への圧力を強めることにつながるだけだ。石油を制裁に含めるべきだ」と述べ、制裁の実現に向けてEU加盟国が一致した対応をとるよう呼びかけました。