上海 企業活動の再開認める方針 多くの地域で外出制限続く中で

中国の上海では、新型コロナウイルスの影響により特定の企業以外の企業活動が制限されてきましたが、当局は来月1日以降、全面的に再開を認めるとする方針を示しました。ただ、現時点では市内の多くの地域で自由な外出が認められない状況が続いていて、今後、企業活動が本格的に再開するのか注目されます。

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染拡大による厳しい外出制限が本格的に始まってから2か月がすぎ、一時2万人を超えていた一日の感染者数は、28日は100人余りと減少傾向が続いています。

こうした中でも、企業活動はこれまで大幅に制限され、半導体や自動車産業など、市の当局が認めた特定の企業を除いて多くは再開していませんでした。

これについて、上海市の呉清副市長は29日の記者会見で「経済は巨大な打撃を受け、市場はかつてない苦境に直面している」として、感染対策を徹底していることを条件に来月1日以降、全面的に企業活動の再開を認めるとする方針を示しました。

当局はすでに、来月中旬から下旬にかけ企業の生産活動や市民生活を正常化させるという目標を示していて、今後も感染対策を維持しながら経済活動の再開を急ぐ方針です。

ただ、現時点では上海市内の多くの地域で自由な外出が認められない状況が続いていて、今後、実際に従業員が出勤して企業活動が本格的に再開するのか注目されます。

経済同友会 櫻田代表幹事「中国の方向転換は好ましい」と評価

経済同友会の櫻田代表幹事は、30日の定例会見で「世界から見てもロックダウンによるサプライチェーンへの影響や輸出入に対するマイナスの影響も含め、中国の方向転換は好ましい。中国国内でさまざまな議論があった結果の判断だったのだと思う」と述べ、感染対策を維持しながら経済活動の再開にかじを切る動きを評価する考えを示しました。