ロシア セベロドネツクへ攻勢強める ウクライナ軍も激しく抵抗

ロシア軍は、ウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握をねらって、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへ攻勢を強め、ウクライナ軍も激しく抵抗しているもようです。一方、ロシアは黒海に面する港の封鎖を解除する見返りとして、ロシアへの制裁解除を要求していて、欧米などによる制裁がプーチン政権に対する圧力として効果を発揮しているという見方が出ています。

ロシア国防省は29日、ウクライナに対しミサイルでの攻撃を続け、東部ドニプロペトロウシク州で大規模な兵器工場を破壊したほか掌握をねらう東部のドネツク州とルハンシク州でもウクライナ軍の弾薬庫や兵器などを破壊したと発表しました。

ロシア軍は、完全掌握をねらうルハンシク州で、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲しようと攻勢を強めています。

ロシア側はセベロドネツクから西におよそ40キロ離れた戦略拠点の1つ、ドネツク州のリマンを支配下に置いたと主張していて、ここを足がかりにさらに進軍する可能性が指摘されています。

セベロドネツクの状況について、ルハンシク州のガイダイ知事は28日「ウクライナのもとにあり、敵は戦果をあげていない。ロシア軍は拠点としている郊外のホテルにとどまっていて市内の中心部に前進できていない」と述べたほか、ゼレンスキー大統領も28日に公開した動画で、ウクライナ軍が攻撃に持ちこたえているという認識を示しました。
その一方で、ゼレンスキー大統領は「情勢はことばで表せないほど厳しい」とも述べ、欧米各国によるさらなる軍事支援の必要性を強調しました。
また、アメリカのシンクタンク、「戦争研究所」は28日「セベロドネツクをめぐる戦いのあと、どちらが勝ったとしても、そこでロシア軍の攻撃は運用面と戦略面ともピークとなり、その後はウクライナ側に反撃を始めるチャンスが訪れるだろう」という見方を示しました。

こうした中、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相は28日、ロシアのプーチン大統領との3者による電話会談で、南部の黒海に面する港の封鎖を解除するよう求めました。

これに対し、プーチン大統領は「ウクライナからの輸出を含め、穀物輸出が妨げられないような選択肢を見つけることに貢献する用意がある」と伝えるとともに、世界的な食糧危機を招かないためにも、ロシアへの制裁の解除が必要だと改めて主張したということです。

こうした主張について、イギリス国防省は29日「ロシアは政治的な目的のため、世界の食料安全保障を利用し、欧米側を非難しようとしている」としたうえで「制裁を解除させようとする試みは、ロシアの体制への圧力も浮き彫りにしている」と指摘し欧米などによる制裁がプーチン政権に対する圧力として効果を発揮しているという見方を示しています。