上海 厳しい外出制限開始から2か月 先行き見通せない状況続く

中国の上海で新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため厳しい外出制限が本格的に始まってから28日で2か月です。当局は来月中に住民の生活などを正常化させる方針を示していますが、依然として多くの地域では外出が制限されるなど先行きが見通せない状況が続いています。

中国の上海では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ことし3月28日から厳しい外出制限が本格的に始まりました。

一日に確認される感染者数は、先月は一時、2万人を超えていましたが、その後は減少傾向が続いていて、27日はおよそ150人となっています。

上海市当局は来月中に住民の生活や企業の生産活動を正常化させる方針を示していて、今週からは地下鉄の一部で運行を再開させるなどしています。ただ多くの地域では指定された日に各家庭1人に限って、買い物などのために数時間程度の外出が認められるにとどまっています。

また、飲食店や小売店などの営業も段階的に再開させるとしていますが、大部分の店舗は閉まったままとなっています。

習近平指導部が感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を堅持する中、上海の外出制限は依然として先行きが見通せない状況が続いています。

来月出産予定の日本人「簡単に病院に行けないことが不安」

上海で厳しい外出制限が長期化する中、現地に住む日本人の妊婦からは不安の声も上がっています。

来月出産予定の田中美菜さん(31)は先月、自宅のマンションで感染者が確認されたため、検診に行くことができない日もあったということです。

その後、不動産の仲介会社を通じて当局側に対応を要請し、検診のたびに外出のための「通行証」を発行してもらっていますが、手配される車の費用として毎回、日本円で2万2000円余りかかるということです。さらにこうした状況下では緊急の場合、救急車の手配など迅速に対応してくれるか不安だといいます。

田中さんは「何かあったときに簡単に病院に行けないことがほかの妊婦の方も含めていちばん不安に思っています。とにかく無事に出産を終え、家族みんなで元気に過ごしたいです」と話していました。