米テキサス州で銃規制に反対する団体が年次総会 抗議の声も

小学校で児童19人を含む21人が銃撃されて死亡する事件が起きたアメリカ南部テキサス州で、銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会」の年次総会が開かれました。
総会にはトランプ前大統領ら野党・共和党の政治家が出席した一方、会場の外では抗議集会も開かれ銃規制の強化を訴えました。

アメリカ南部・テキサス州のヒューストンで27日、銃の規制に反対する有力なロビー団体「全米ライフル協会」の年次総会が始まりました。

テキサス州では、24日に男が小学校に押し入って銃を乱射し、児童19人を含む21人が死亡する事件が起きたばかりで、地元の市長などは総会の中止を求めていました。

会場で演奏する予定だった複数のミュージシャンが出演を辞退したほか、野党・共和党のアボット州知事も出席を取りやめましたが、トランプ前大統領や地元選出の上院議員らが出席しました。

会場の外では総会の開催に抗議の集会

一方、会場の外では総会の開催に抗議する集会も開かれ、事件で亡くなった子どもたちの写真とともに「銃ではなく子どもを守れ」と書かれたプラカードを掲げて、銃規制の強化を訴えました。

今回の銃撃事件を受けてバイデン大統領は、銃規制の強化に取り組む姿勢を強調しています。

しかし去年、銃の購入者に対する審査を厳格化する法案は、ロビー団体の支援を受ける議員が多い共和党の反対で、議会の通過が危ぶまれていて、効果的な銃規制が実現するめどは立たないままです。

“今すぐ銃規制の強化を” “米国人には銃持つ権利ある”

「全米ライフル協会」の年次総会の会場の外では、数百人が集会を開き「何人の子どもが命を落とせば銃は規制されるのか」などと書かれたプラカードを掲げて、抗議の声を上げました。

集会では、4年前に南部フロリダ州で起きた銃撃事件で息子を亡くした女性が演説し「これ以上、子どもたちが銃によって命を失うことがないよう、闘い続けなければならない」と訴えました。

集会に参加した地元ヒューストンの男性は、「銃規制に反対するロビー団体が年次総会を決行したのは、この街に対する侮辱だ」と怒りをあらわにしていました。

また別の男性は、「今すぐ法律を変えて銃規制を強化し、子どもたちを守るべきだ」と話していました。

一方、「全米ライフル協会」のメンバーが抗議集会の参加者と言い争いになる場面も見られました。

団体のメンバーの男性は、「アメリカ人には銃を持つ権利がある。銃の規制を強化しても、人を殺すことを止めることはできない」と話していました。

「銃規制を強化すべき」65%

アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」などが、テキサス州で銃撃事件が起きた翌日の25日に実施した世論調査によりますと、「銃規制を強化すべき」と答えた人は65%でした。

これは、10日ほど前に行われた調査と比べて、5ポイント上昇しています。

支持する政党別で見ますと、銃規制を強化すべきだとする人は、
▽与党・民主党の支持者で86%だったのに対し、
▽野党・共和党の支持者では44%にとどまっていて、
支持する政党によって立場の違いが明確になっています。

トランプ前大統領「銃規制でなく教師に銃の携帯許可」

銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会」の年次総会には、アメリカ大統領選挙の際にこの団体から巨額の献金を受け取っていたトランプ前大統領も出席しました。

トランプ前大統領は演説で、バイデン大統領がテキサス州の小学校での銃撃事件のあとに銃のロビー団体を批判したことを挙げ、「世の中に悪魔がいるからと言って、法律に従って正しく銃器を使い、多くの人々を守っている市民から武器を取り上げる理由にはならない」と強調しました。

そのうえで、「訓練を受けた教師に銃の携帯を許可するときが来た」と述べ、銃を規制するのではなく、銃を用いて学校の警備を厳重にすることで事件の再発を防ぐべきだと主張しました。

大リーグでも抗議の動き

大リーグでは銃による暴力に抗議する動きが広がっています。

大リーグ、ジャイアンツのキャプラー監督は27日「国の方向性が改善するまで今後、国歌斉唱のために出てくるつもりはない」と話し試合前の国歌斉唱の際、グラウンドに姿を見せませんでした。

現役時代にプロ野球・巨人でもプレーしたキャプラー監督は今回の事件を受けて銃規制が進まないアメリカの現状に抗議の意思を示すとして、当面、国歌斉唱には参加しないということです。

またヤンキースとレイズは球団の公式ツイッターを使って「銃による暴力を終わらせよう」というキャンペーンを展開し、銃に関する統計データを立て続けに紹介しました。

具体的には「毎日110人以上のアメリカ人が銃によって殺害され、200人以上がけがをしている」とか「2020年のアメリカの子どもと10代の死因で最も多いのが銃によるものだ」などと投稿していて、球団のSNSとしては異例の内容となっています。

アメリカではこれまでも銃撃によって多くの人が亡くなる事件が起きるたびに銃規制の強化を求める声が高まってきましたが、一向に進んでいない現状があり、今回の事件を受けてスポーツ界でも銃による暴力に抗議する動きが広がっています。