【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領「欧米が制裁解除なら穀物を輸出するなど貢献」

ロシア大統領府は28日、プーチン大統領がフランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相とウクライナ情勢をめぐって電話会談を行ったと発表しました。

この中でプーチン大統領はロシアに対する欧米の制裁の解除を条件に「黒海の港から穀物を輸出するなど選択肢を見つけることに貢献する用意がある」と伝えたということです。

イギリス国防省「ロシア軍 リマンのほぼ全域掌握」

イギリス国防省は28日、ウクライナでの最新の戦況分析を公表し「ロシア軍は27日までにドネツク州北部リマンのほぼ全域を掌握した」として、ロシア軍が、ウクライナ東部の鉄道の重要な拠点とされるリマンの大部分を掌握したとしています。

そのうえで「ロシア軍のねらいはリマンから東に40キロのセベロドネツクだ。これから数日間、ロシア軍の部隊はドネツ川を渡ることに力を入れるとみられていて、リマンを掌握することはロシア軍にとって有利となる」として、ロシア軍がリマンを東部ドンバス地域への攻勢を強めるための足がかりにしようとしていると分析しています。

そしてロシア政府は東部ドネツク州とルハンシク州の全域を掌握することで、軍事侵攻を正当化し、国民にアピールするねらいもあると指摘しています。

一方「ウクライナ軍は統制がとれた防衛作戦を続けていて、ロシア軍に多くの死傷者が出ている」として、ウクライナ側による抵抗も続いているとしています。

ロシア国防省 ドネツク州リマン「全域を掌握」と主張

ロシア国防省は28日の発表でウクライナ東部のドネツク州リマンについて「全域を掌握した」と主張しました。

リマンはウクライナ東部の鉄道の重要な拠点とされる戦略的にも重要な場所で、南側にはウクライナ軍の東部の拠点にもなっているクラマトルスクやスラビャンスクなど、ドネツク州の主要都市があることからロシア軍は攻勢を強めていました。

ロシア バレンツ海でミサイル発射実験 スウェーデンなどけん制か

ロシア国防省は北西部のバレンツ海で海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」の発射実験を行い、成功したと28日、発表しました。

ロシアは北欧のスウェーデンとフィンランドがNATO=北大西洋条約機構への加盟申請を決めたことに強く反発していて、今回の実験は両国をけん制するねらいもあるとみられます。

ウクライナ東部の衛星画像公開 建物の被害など捉える

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、ロシア軍が攻勢を強めているウクライナ東部について、建物の被害などを捉えた衛星画像を公開しました。

このうち、ウクライナ東部ルハンシク州内最後の拠点ともされるセベロドネツクの南にあるポパスナで、今月25日に撮影された画像では、広い範囲にわたって壊れた住宅などの建物やロシア軍のものとみられる車両が数台確認できます。

また、ルハンシク州に隣接する東部ドネツク州で、ロシア側が掌握したと主張するリマンの今月25日の衛星画像では、砲撃によってできたとみられる大きな穴が地面に多数ある様子が捉えられています。

ゼレンスキー大統領 G20にオンライン参加へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、インドネシアのシンクタンクが主催する講演会にオンラインで参加しました。
そして、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシア政府から、ことし11月の首脳会議に招待されたことについて「大変感謝している。秋までに世界がこの大きな問題を解決することを望んでいる」と述べました。
そのうえで、「首脳会議の場には、友好国やパートナー国だけが出席し、占領や侵略を行う国がいないことを信じている」と述べ、ロシアの参加を認めないよう訴えました。

出席の方法については、「私は国民と共にいるので、ウクライナを離れられない。戦争が続いている場合はオンラインで出席したい」と述べました。
また、ロシアの軍事侵攻に伴う食糧やエネルギーの供給不足の問題は今後、深刻化する可能性があると指摘したうえで、「G20は解決策を見いだすため、状況の詳細を理解してほしい」と期待を示しました。

首脳会議の出席者をめぐっては、インドネシアのジョコ大統領が、4月、ロシアのプーチン大統領から出席の意向が伝えられたことを明らかにし、インドネシアに駐在するロシア大使は、プーチン大統領は対面で出席する意向があると述べています。

「ロシアの指導者とは話すべきことがある」

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談について意見を述べました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアの大統領と会談する目的は、われわれの国を存続させるため、戦争を終わらせるため、そして、世界的な食糧危機を引き起こさないようにするためだ」と述べました。
そして、「ロシアの指導者とは、話すべきことがある」と述べ、プーチン大統領との対話の必要性に言及しました。

しかしその一方で、「ロシアの指導者が交渉のテーブルに着き、戦争を終わらせるというわれわれの提案に対応したことは、私が大統領に就いてからの3年間で一度もない」と指摘しました。
さらに、「ロシアは、いかなる交渉も望んでいない。彼らの条件に従って署名し、彼らの最後通告と提案に応じるよう求めているだけだ」と述べ、ロシア側の交渉姿勢を批判しました。

東部ルハンシク州知事「今後の戦況によっては撤退も」

ロシア軍が、ウクライナ東部ルハンシク州の全域の掌握を目指して攻勢を強める中、ルハンシク州のガイダイ知事は27日、自身のSNSに「ロシア軍は今後、数日以内にルハンシク州を占領することはできないだろう」と投稿しました。

その一方で、「われわれは、防衛のための十分な力を持っているが、ロシア軍の包囲を避けるためには、撤退しなければならなくなる可能性もある」として、今後の戦況によっては撤退もあり得るとの考えを示しました。

ウクライナ市民 少なくとも4031人死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月26日までに、ウクライナで少なくとも4031人の市民が死亡したと発表しました。このうち261人は、子どもだとしています。

地域別では東部のドネツク州とルハンシク州で2274人、キーウ州や東部のハルキウ州など、そのほかの地域で1757人の死亡が確認されているということです。また、けがをした市民は4735人に上るとしています。

ただ、国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続いた東部のマリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないなどとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。

UNHCR ウクライナから国外避難 約670万人(26日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、26日の時点でおよそ670万人に上っています。
主な避難先は、
▽ポーランドがおよそ355万人、
▽ルーマニアがおよそ98万人、
▽ハンガリーがおよそ66万人、
▽モルドバがおよそ47万人などとなっています。
また、
▽ロシアに避難した人はおよそ97万人となっています。

南部ヘルソン州知事「ロシアが支配を強め避難は困難に」

ロシア軍が掌握したと主張するウクライナ南部ヘルソン州のヘンナディ・ラフタ知事は会見で、ロシア軍が支配を強め、住民の避難が一層難しくなっている現状を訴えました。

ロシアは8年前、一方的に併合したクリミア半島に隣接するヘルソン州について、3月中旬に全域を掌握したと発表したあと、支配の既成事実化を進めています。

ロシア側が解任したとするラフタ知事は27日、避難先でオンラインの記者会見を開き、「ヘルソン州では、通信状況や医薬品などがなく、人道的に見ても依然として厳しい状況が続いている」と述べました。
またロシア軍は接収した工場でコンクリートなどを製造しているほか、道路を作る資材を奪っていると明らかにしたうえで、「ロシア軍はそれらを使って検問所を強化している。今は州の外に出る道路が閉鎖され、誰も出ることが許されない」と述べ、住民の避難が一層難しくなっている現状を訴えました。

ロシア側 “ドネツク州北部のリマンを掌握”

ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力は27日、ロシア軍が攻勢を強める東部ドネツク州について「リマンを含む220の集落を完全に支配した」とSNSに投稿し、ロシア側が州北部のリマンを掌握したと主張しました。
リマンは、ウクライナ東部の鉄道の重要な拠点で、南側にはウクライナ軍の東部の拠点にもなっているクラマトルスクやスラビャンスクなどドネツク州の主要都市があります。
ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏は、26日に公開された動画で「確認中のデータによればわれわれはリマンを失った。ロシア軍の戦術的なスキルのレベルがあがっている」と話していました。
またウクライナ国防省の報道官は、27日の記者会見で「ロシア軍はリマンからウクライナ軍を押し出し、スラビャンスクに向かおうとしている」と述べ、ロシア軍が東部のウクライナ側の拠点に向けて、さらに攻勢を強めているという見方を示しています。

ロシア軍によるドネツク州での攻撃の瞬間とする映像 SNSで公開

ロシア軍がウクライナ東部2州への攻勢を強める中、ウクライナ国防省は26日、東部ドネツク州でのロシア軍による激しい攻撃の瞬間とする映像をSNSで公開しました。
映像は上空から撮影されたもので、攻撃を受けた瞬間、建物が建ち並ぶ場所などで、次々と衝撃波を伴う激しい爆発が起き、大きな煙が立ちのぼる様子を捉えています。
また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、この映像について、ロシア軍が猛烈な爆風と熱が発生する「燃料気化爆弾」を使ったと主張したうえで、「ロシアはすでに、核兵器ではない兵器の中では最も重いものをウクライナに対して使っている」として、ロシアを非難するとともに、国際社会に対し武器の供与を訴えました。