ゼレンスキー大統領 ロシアへの追加制裁 早く合意するよう訴え

ロシア軍はウクライナ東部2州のうちルハンシク州で全域の掌握をねらって、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲し、攻勢を強めています。
こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、EU=ヨーロッパ連合がロシアからの石油の輸入を禁止することを含む追加の制裁案について、1日も早く合意するよう訴えました。

ロシア軍はウクライナ東部のルハンシク州で全域の掌握をねらって、中心都市セベロドネツクを包囲し攻勢を強めていて、親ロシア派の指導者は州の95%を掌握したと主張しました。

セベロドネツクについて、アメリカ国防総省の高官も26日、記者団に「ロシア軍が北東部の大部分を制圧したようだ」という分析を示したほか、地元当局者はイギリスの公共放送BBCに、ここ数日で市内の住宅の9割が破壊され、今もおよそ1万3000人が地下や避難所に身を寄せていると話しています。

ルハンシク州の知事は「今週が決定的なものになるだろう」と述べ、ロシア側との攻防が重要な局面に差しかかっているという認識を示しています。

ロシアが掌握したと主張する地域では支配の既成事実化が進んでいて、国営タス通信は、東部の要衝マリウポリで26日、ロシア政府が大型モニターを備えたトラックを中心部に運び込んで国営テレビのニュース放送を始めたと伝え、ロシア側のプロパガンダを拡散するねらいがあるものと見られます。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は26日に公開した動画で、EU=ヨーロッパ連合がロシアからの石油の輸入を年内に禁止することを含む追加の制裁案に合意できていないことについて「合意するのにどれだけ時間を費やしているか見てほしい」と批判しました。

そのうえで「ロシアへの圧力は命を救うことと同じだ」と述べ、制裁案に1日も早く合意するよう訴えました。

一方、ロシアのプーチン大統領は26日、イタリアのドラギ首相と電話会談を行い、ロシア大統領府によりますと、ウクライナ南部に面した黒海とアゾフ海の港で、民間の船が出られるように「海の人道回廊を毎日開放する」と伝えたということです。

さらに、世界的な食糧危機の問題について、解決のためには欧米による厳しい制裁の解除が必要だと主張しました。