新型コロナウイルスを全自動 短時間 低コストで検出 装置開発

PCR検査と同等の高い精度で、短時間に低コストで新型コロナウイルスを全自動で検出できる装置を開発したと、理化学研究所などのグループが発表しました。変異ウイルスも検出できるということで、来年度までに製品化を目指したいとしています。

検査装置は、理化学研究所や東京大学などのグループが開発しました。

装置は、CDのような板の上に作った1平方センチメートル当たりおよそ100万個ある極めて小さなくぼみの中で、新型コロナウイルスの遺伝子があると光を発する特殊な試薬を反応させることで、短時間でウイルスの有無が分かるという仕組みです。

研究グループはこの装置を去年開発していましたが、今回試薬を改良して検出の感度を高めたうえ、検体の調製からウイルスの有無の判定に至るすべての作業を自動でできるようにしました。

その結果、PCR検査では結果が出るまで1時間ほどかかるのに対し、同等の精度がありながら、すべての工程にかかる時間をおよそ9分間にまで短縮できたうえ、1回にかかる試薬などは日本円で250円程度と低コストで検査できるとしています。

さらに、変異ウイルスが出現した場合には、対応する試薬を3週間ほどで作り、高い精度で検出ができるということで、理化学研究所の渡邉力也主任研究員は「インフルエンザなど新型コロナ以外の感染症でも応用が期待できる。来年度までには新たな診断装置として製品化を目指したい」と話しています。