マイナンバーカードで健康保険証が原則廃止に?今後どうなる?

病院を受診する時に皆さんは健康保険証を見せていますか?

それともマイナンバーカードを見せていますか?

厚生労働省の審議会で示された「将来的に健康保険証の原則廃止」を目指す方針。

現場ではどう受け止められているのでしょうか?

(大阪放送局 取材班)

“マイナ保険証” 医療機関に導入を原則義務づけへ

2021年10月からマイナンバーカードを保険証として本格的に利用できるようになりました。

利用を促すため、厚生労働省は25日、来年度から医療機関などに対し、マイナンバーカードを保険証として利用するために必要なシステムの導入を原則として義務づける方針を示しました。

再来年度中には、健康保険組合などが保険証を発行するかどうか選択できるようにし、将来的には保険証の原則廃止を目指すとしています。

マイナンバーカード 普及率は44%

国はマイナンバーカードを来年3月末までに、ほぼすべての国民に行き渡らせる目標を立てていますが、ことし5月1日時点で44%にとどまっています。

また、マイナンバーカードを持っているだけでは保険証としては使えません。
専用サイト「マイナポータル」からマイナンバーカードを保険証として登録する必要があります。

街の人の受け止めは…

マイナンバーカードを保険証として使うことをどう思うか?

大阪の商店街で聞いてみると…。

30歳代女性「マイナンバーカードをいま申請しているところで、手元に届いたら健康保険証としても使ってみたいです。1枚で済むのは便利だと感じます」

70歳代女性「健康保険証としても使えるとテレビで聞いていますが、手続きの進め方がわからないので使ったことがありません」

60歳代男性「マイナンバーカードはなくしてしまうと怖いので家に大事にしまっているので、健康保険証と別にしてほしいです」

70歳代男性「マイナンバーカードを保険証として利用する登録は済ませましたが、まだ使っていません。大きい病院では利用できるようですが、自分が通っている病院では使えません」

今回の取材では40人以上に声をかけましたが、マイナンバーカードを実際に保険証として使ったことがあるという人はいませんでした。

一方で、従来の保険証が廃止されたらと尋ねると、変えるしかないという声も多く聞かれました。

“マイナ保険証” メリットは

マイナンバーカードを保険証として使うメリットについて、国は次のように説明しています。

<通院が便利に>
医療機関や薬局での受け付けが顔認証つきのカードリーダーで自動で済ませられる。

<データの共有>
健康診断の情報や過去に処方された薬などのデータが共有される。

<ポイントがもらえる>
カードを健康保険証として登録、申請すると7500円分のポイントが付与される。
ポイントの申請の受け付けはことし6月30日から来年2月末までで、カードの取得をことし9月末までに申請しておくことが必要だということです。

利用できる医療機関 現状は19%程度

一方、デメリットもあります。

データを共有するシステムを使うため、3割負担の患者の場合、初診で最大21円の追加の医療費負担が生じています。

マイナンバーカードを保険証として使った人の方が負担が増えてしまうのです。

また、マイナンバーカードを使える医療機関は現状では限られています。

マイナンバーカードを保険証として利用できるのは5月15日時点で全体の19%程度にとどまっています。

”マイナ保険証” 医療現場の受け止めは

医療現場からはマイナンバーカードを保険証として利用することに対して、懸念する声も出ています。

大阪・旭区の宇都宮健弘さんの診療所では、まだマイナンバーカードを健康保険証として利用する申請をしていません。

診療所の患者の7割が高齢者ですが、2、3人の少ないスタッフではマイナンバーカードの保険証の使い方を説明する負担が増えることや、スタッフがマイナンバーカードを扱うことで情報の漏えいリスクが心配だといいます。
宇都宮さんが理事長を務める大阪府保険医協会が今月10日、府内の医療機関に対してアンケートを行ったところ、597の医療機関のうち、マイナンバーカードを保険証として使えるシステムを
▽設置したのはおよそ15%、
▽システムを「導入しない」と答えた施設もおよそ38%あり、
対応は分かれています。
アンケートでは
▽保険証の期限切れや、不正使用に気付きやすいなど
評価する声があった一方で、
▽患者の負担が増える、
▽個人情報が漏えいした時の責任の所在が不明確などと、
懸念する意見も多く寄せられました。
大阪府保険医協会の宇都宮健弘理事長は「保険証の原則廃止はマイナンバー制度を進めたい思惑を感じるが、医療現場は合理化だけで進めると思わぬ落とし穴に陥るおそれがあるので制度を見直してほしい」と話しています。

患者や医療機関の立場に立った議論を

厚生労働省は、システムの導入を進めるためのプロジェクトチームを26日設置しました。

今回、現場の声を聞くと、現状では不便さや負担感が先行しているようにも感じられます。
患者や医療機関の立場に立った議論が求められています。