外国人観光客受け入れ再開へ 実証事業が各地で始まる

外国人観光客の受け入れ再開に向けた政府の実証事業の一環で、アメリカの旅行会社の経営者などが茨城県内を訪れ、感染対策をしながら観光地を見て回りました。

新型コロナウイルスの影響で現在中止している外国人観光客の受け入れ再開に向けて、政府は24日から小規模の訪日ツアーを試験的に始めています。

この一環で、26日午前、茨城県ひたちなか市にある酒列磯前神社に、アメリカのハワイの旅行会社の経営者など4人が、添乗員とともにバスで到着しました。

4人はマスクを着用し、手の消毒をしてから参拝して、祈とうを受けたりおみくじをひいたりしていました。

一行はこのあと、漁港のそばの商業施設を訪れ、海産物を見て回っていました。

参加した60代の男性経営者は「茨城では、感染対策はしっかりしていると感じた。神社で日本へのツアーを今後行えるよう祈願した」と話していました。

茨城県では、感染拡大前の2018年に、外国人宿泊客は過去最多の延べ25万人余りとなりましたが、感染拡大後は落ち込んでいて、県は2025年には延べ26万人にまで引き上げたいとしています。

茨城県国際観光課の幡谷佐智子課長は「茨城のおいしい食べ物など魅力を発信して外国人宿泊客を呼び込んでいきたい」と話していました。
また長野市でも実証実験が行われ、ハワイからの参加者が善光寺を観光しました。

26日、このツアーに参加したハワイで旅行会社を経営する男女4人が長野市を訪れ、御開帳でにぎわう善光寺の観光を楽しみました。

観光庁は、このツアーを通して、外国人観光客にマスクの着用など基本的な感染対策を守ってもらうための効果的な方法や、感染が疑われる症状が出た場合の対応などを検証し、今後、旅行会社や宿泊施設向けのガイドラインをまとめることにしています。

長野県によりますと、新型コロナ前の令和元年に県内で宿泊した外国人は、延べ157万人余りに上っていましたが、去年は6万1300人と、20分の1以下に激減しているということです。

ツアーに参加したハワイの旅行会社の女性は「朝食のビュッフェで、手袋の着用が必要になるなど、日本の感染対策の厳しさを感じた。ただ日本は人気も高いので自分の客にも紹介したい」と話していました。