首相 「拡大抑止」確保へ “日米で緊密連携図る” 衆院予算委

国会では26日から衆議院予算委員会で、今年度の補正予算案の実質的な審議が始まりました。

岸田総理大臣は、アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」の確保に向けて閣僚レベルも含め緊密に意思の疎通を図っていく考えを強調しました。

衆議院予算委員会では午前中、自民党と公明党が質問に立ちました。

自民党の小野寺元防衛大臣は、アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」をめぐり「国民を守るためには『核の傘』の中にいなければならないが、傘に穴が空いていては信頼が醸成できない。さきの日米首脳会談で『拡大抑止』について日本が安心できる確信を得られたか」と問いました。

岸田総理大臣は「日米首脳会談では、今後も『拡大抑止』は揺るぎないものでなければならず、しっかり確保するために閣僚レベルを含め、より一層緊密に意思疎通を図っていくことでも一致した。さまざまなレベルでの信頼を引き続き確認し、信頼を維持していく努力を続けていきたい」と述べました。

また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり「ロシアはウクライナに関する偽の情報をたくさん流しているが、偽情報を流して相手国の考え方を誘導するのが『認知戦』だ。ほとんどの人がSNSでさまざまな情報を得る中、日本でこうした状況が起きた場合に対応できるのか」と質問しました。

岸田総理大臣は「ウクライナ情勢などを見てもフェイクニュースやSNSによる偽情報など、認知領域を含む情報戦への対応が重要だと強く感じている。国家安全保障戦略を策定する議論の際に、しっかり検討していかなければならない課題だ。サイバーや『認知戦』への対応、『反撃能力』、さらには宇宙領域など新しい課題も念頭に置きながら議論を行っていきたい」と述べました。

さらに25日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射に触れ「弾道ミサイルは十数分で飛んでくるのに、アメリカが意思決定するまでの間、日本は自国の防衛力で対応しなければならないのが現実だ。攻撃の方法や武器の体系が変われば、国民を守るために能力の行使は必要であり『反撃能力』の保持を前向きに考えてほしい」と求めました。

岸田総理大臣は「厳しい安全保障環境の中で、国民の命と暮らしを守るためには何が必要か、現実的に、具体的に考えていかなければならない。新しい国家安全保障戦略の議論の際に『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除することなく冷静に考えていかなければならない」と述べました。