ロシア軍 ウクライナ東部の完全掌握目指して都市へ 攻勢強める

ロシア軍は、ウクライナ東部の完全掌握を目指して都市への攻勢を強め、ウクライナ側は「ロシアの軍事作戦が最も活発な段階に入った」と警戒を強めています。

ロシア国防省は25日、南東部ザポリージャ州にある戦闘機のエンジンの工場をミサイルで破壊したほか、東部ドニプロペトロウシク州の鉄道駅周辺で移動中のウクライナ側の部隊を攻撃したなどと発表しました。

ロシア軍は、東部のドネツク州とルハンシク州の完全掌握を目指し、このうちルハンシク州で、ウクライナ側が拠点とする都市、セベロドネツクへの攻勢を強めています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日に「ロシア軍は、東部で大規模にウクライナ軍を包囲することは諦めた。その代わりに小規模な包囲を確保し、セベロドネツクに集中しているようだ」と分析し、ロシア軍の戦術面での変更を指摘しています。

これに対して、ウクライナ国防省の報道官は24日に「ロシアの軍事作戦が最も活発な段階に入った。東部戦線は著しく困難な状況だ」と危機感を示しました。

ウクライナ軍によりますと、24日にドネツク州とルハンシク州では、ロシア軍の攻撃によって少なくとも市民14人が死亡し、15人がけがをしたということです。

一方、イギリス国防省は25日の分析で、ロシア海軍が南部の港湾都市オデーサなど、主要な港を封鎖していることでウクライナからの穀物の輸出が滞り、世界的な穀物価格の高騰を招いていると指摘しています。

ゼレンスキー大統領も24日にNHKとの単独インタビューで「2200万トンの穀物がロシアによって輸出を妨げられていることは、アジア、ヨーロッパ、アフリカにとっても重大な意味を持つ」と述べたうえで、対艦ミサイルの供与など、さらなる軍事支援を求めました。

ロシアのプーチン政権は、戦闘の長期化を見据え、ウクライナ経済に長期的な打撃を与えることをねらっているとみられ、ウクライナ側は、各国から経済や軍事面での支援も得ながら対抗していく構えです。