物価高騰緊急対策の補正予算案 衆参両院で審議入り与野党論戦

物価高騰の緊急対策を実行するための一般会計の総額で2兆7009億円の今年度の補正予算案は25日、衆参両院で審議入りし論戦が交わされました。

衆参両院の本会議では、鈴木財務大臣の財政演説と各党の代表質問が行われました。

衆議院本会議で、立憲民主党は補正予算案について「遅い、小さい、中身がない。こんな恥ずかしい予算を見たことない。予備費の埋め戻しだけでなく、使途拡大までしており、財政民主主義を完全に度外視している」と批判しました。

自民党は「原油価格や物価が不安定に推移する中、補正予算案はこうした状況に迅速に対応するもので、次に起こり得る事態に備え、国民の安心・安全を確保するために必要不可欠だ」と主張しました。

これに対し、岸田総理大臣は「今後の災害や新型コロナの再拡大、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格や物価のさらなる高騰など状況は予断を許さない。早期成立を図り、国民生活を守り抜く万全の備えを固めていく」と述べました。

一方代表質問では、23日の日米首脳会談で、岸田総理大臣が、日本の防衛力を抜本的に強化するため、防衛費を増額する考えをバイデン大統領に伝えたことなども取り上げられました。

岸田総理大臣は、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとしたうえで「防衛力の抜本的強化の裏付けとなる予算をしっかり確保していく。安定的に確保する観点から、財源の在り方も合わせて検討していく」と述べました。

また防衛力の強化にあたって、専守防衛の定義を見直すのかと問われ「専守防衛は憲法の精神にのっとった、防衛の基本方針であり、変更する考えはない」と述べました。

補正予算案は、26日以降、衆参両院の予算委員会で審議が行われることになっていて、夏の参議院選挙もにらんで、与野党の論戦が活発になる見通しです。

木原官房副長官「財源の在り方も一体的に検討したい」

木原官房副長官は記者会見で「わが国の安全保障環境が一層厳しさを増す中でまず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要か、具体的、現実的に議論し積み上げていくことだ。その結果、防衛力の抜本的強化にあたって必要となるものが確定し、その裏付けとなる予算をしっかり確保していくということで、岸田総理大臣から決意を伝えた」と述べました。

そのうえで「こうした考え方のもとで、防衛費の内容や規模について、新たな安全保障戦略の策定や今後の予算編成過程などを通じて検討していくことになる。その際、防衛費を安定的に確保する観点から、財源の在り方についても一体的に検討していきたい」と述べました。

国民 古川国対委員長「補正予算案も賛成するべきだ」

今年度の補正予算案への対応について、国民民主党の古川国会対策委員長は党内で意見が分かれているとしたうえで、自身としては、原油価格の高騰対策が盛り込まれており評価できるとして、賛成すべきだという考えを示しました。

古川国会対策委員長は、記者会見で今年度の補正予算案について「中身の問題点や、規模が小さいという問題もあり、党内でもいろいろと議論がある。最終的な賛否の判断にはもう少し議論が必要だ」と述べました。

そのうえで「今回の補正予算案の大部分は、自民・公明両党と協議してきた原油価格の高騰対策が占めており、評価できる。私個人としては、協議をしてきた以上、賛成するべきだと思う。最終的には、党として決めたことにみんなで従う」と述べました。

国民民主党は、政府の今年度の当初予算に野党として賛成する異例の対応をとっていて、補正予算案への対応も焦点となっています。