財務省の審議会 “先行き不確実性増す中 財政の対応余力必要”

国の予算の在り方を議論する財務省の審議会が提言をまとめ、ウクライナ情勢など先行きの不確実性が増す中、財政の対応余力を持つ必要性がこれまで以上に高まっているとして、政府の財政健全化目標を堅持する重要性を改めて指摘しました。

「財政制度等審議会」は、政府が来月、経済財政運営の基本方針「骨太の方針」を取りまとめるのを前に、25日に提言を公表しました。

提言では、ウクライナへの軍事侵攻で不確実性が増す中、緊迫化する安全保障や、巨大災害、それに金利の上昇など、さまざまなリスクに備え、円滑に資金調達ができるよう、財政の対応余力を持つ必要性がこれまで以上に高まっていると指摘しました。

そのうえで政府の財政健全化の目標について「今後、日本の貿易赤字が定着し、経常収支の見通しが大きく変わっていく可能性がある中、仮に目標を後退させれば財政や円に対する市場の信認を失うリスクが大きい」として、国と地方を合わせた「基礎的財政収支」を2025年度に黒字化するという目標を堅持する重要性が増していると改めて指摘しました。

さらに提言では、新型コロナへの対応に効率性を求めたほか、地球温暖化対策の負担を先送りしないよう、必要な財源の確保を訴えました。

また、防衛費については「規模ありき」で議論を進めないようクギを刺しています。

増田会長代理「財政健全化を常に意識して」

提言について財政制度等審議会の増田寛也会長代理は、新型コロナの感染拡大以降、大規模な補正予算が相次いで編成されていることをふまえて「経済対策や補正予算は額ありきではなく、歳出の内容をよく吟味したうえで効果のあるものに予算を投じ、積み上げていくものだ。経済対策を講じるにしても、日本は国際的にずばぬけて大きな債務を負っており、財政健全化を常に意識しておかないと財政対応の余力を持つことにつながらない」と述べました。