クアッド首脳会合 経済分野の協力は【詳しく】

日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合をうけて4か国の首脳は共同声明を発表し、経済分野でも協力を深めていくことを確認しました。

インフラ

インフラ分野では、インド太平洋地域の生産性や繁栄を促進するため今後5年間で500億ドル以上のインフラ支援や投資を行うことを目指すとしています。

また、新型コロナウイルスの影響で債務問題への対処が必要になっている国々を支援していくとしています。

地球温暖化

地球温暖化問題をめぐっては、気候変動に対応するため4か国が新たな枠組みを立ち上げます。

▽クリーンエネルギーに関するサプライチェーンの強じん化や▽二酸化炭素を燃料として再利用したり、地中に封じ込めて貯留したりするCCUSと呼ばれる技術を活用したりして、インド太平洋地域の気候変動に向けた取り組みを支援するとしています。

半導体・5G

一方、4か国は、地域の安全保障の強化するため重要で新しい技術を活用していくとして、通信と半導体の分野を挙げています。

このうち半導体分野については、4か国のサプライチェーンの能力や脆弱性を明確にしたうえで、競争力のある半導体市場を実現するため各国の強みをさらに活用する方針を決定したということです。

また、バイオや量子技術にも注目し、産業界とのネットワークを構築するためフォーラムを開催するとしています。

一方、通信では、第5世代の通信規格5Gや今後導入が進む5Gの次の世代の分野で協働を検討していくため、「オープンRAN」と呼ばれる基地局の仕組みづくりで覚書を交わしました。

「オープンRAN」は、異なるメーカーの機器やシステムを組み合わせるのが特徴で、覚書には、相互運用やセキュリティーに関する情報を共有することなどが盛り込まれています。

4つの国がこの分野に注力する背景には、海外で基地局整備を進める中国の通信大手、ファーウェイによって、地域の通信インフラを押さえられかねないという危機感があります。

そこで1社による独占を防ぎ、4か国が協力しながら多様なメーカーで通信インフラを整備していくねらいがあるとみられます。

人材育成

人材育成をめぐっては、各国の学生100人がアメリカで大学院の学位取得を目指す「日米豪印フェローシップ」を正式に創設し、科学技術や工学、数学の分野で次世代の人材を育成していくとしています。

宇宙

さらに宇宙分野では気候変動や防災、海洋資源の持続可能な利用などに向けて、民間の地球観測データの共有やソフトウエアの開発などで協力するとしています。

サイバー分野の協力強化も

共同声明ではサイバーセキュリティーの分野でも4か国がパートナーシップを結び「サイバーセキュリティーを強化するために共同のアプローチをとっていくことが急務である」として、協力体制をつくるとしています。

具体的には、サイバー空間において脅威となる情報を互いに共有することで、各国の重要インフラの保護を強化するとしています。

重要インフラをめぐっては、「ランサムウエア」と呼ばれる身代金要求型のコンピューターウイルスによって攻撃を受けるケースが起きていて、アメリカ最大級の石油パイプラインが去年、ロシアに拠点を置くハッカー集団から攻撃を受けるなど国際的な課題となっています。

また、各国の政府機関が調達するソフトウエアについては、共通のセキュリティー基準を持つように整合性をとっていくことが盛り込まれています。

ソフトウエアのセキュリティーリスクを巡っては、アメリカは去年5月、政府機関に提供されるソフトウエアについて、事業者にソフトを構成する要素を開示するよう求める大統領令を出すなど、いち早くセキュリティー強化を打ち出しています。

今回の共同声明にサイバーセキュリティーの分野が盛り込まれた背景には、ウクライナ情勢などを受けて、サイバー空間でも安全保障上の脅威が高まっていることから、4か国で結束して対策の取り組みを共有し、脅威に対抗しようという狙いがあり、今回の合意を受け、日本でも今後、具体的な対応が進められることになります。