クアッド首脳会合 共同声明で中国を念頭 威圧的行動に強く反対

日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合のあと共同声明が発表されました。中国を念頭に、現状を変更し、地域の緊張を高めるあらゆる威圧的で一方的な行動に強く反対するとしています。

共同声明では、4か国の首脳が「包括的で強じんな自由で開かれたインド太平洋」への揺るがない関与を新たにすると表明したうえで、深刻な世界規模での困難の時代に4か国が「善を推進する力」であることを示すとしています。

そして、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアを名指しした形での非難を避ける一方、
▽自由や法の支配、
▽主権と領土の一体性、
▽武力による威嚇や行使、
▽現状を変更しようとする、いかなる一方的な試みに訴えることなく紛争を平和的に解決することなど、インド太平洋地域や世界の平和、安定、繁栄に不可欠な原則を強く支持するとしています。

そのうえで、ウクライナでの紛争や人道的危機への対応と、インド太平洋への影響について議論し、すべての国が国際法に従い、紛争の平和的な解決を追求しなければならないことを確認したとしています。

また、中国を念頭に、東シナ海や南シナ海も含めた、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗するため、国際法の順守などを擁護する立場を明確にしたうえで「現状を変更し、地域の緊張を高めようとする、あらゆる威圧的、挑発的、一方的な行動に強く反対する」と明記しています。

そのうえで、中国が、南太平洋のソロモン諸島と安全保障に関する協定を結んだことなどを念頭に、太平洋島しょ国との経済協力をさらに強化するとしています。

北朝鮮をめぐっては、ICBM=大陸間弾道ミサイル級を含めた、たび重なるミサイル発射と開発を、地域の不安定化をもたらすと非難したうえで、国連安保理決議の義務に従って、挑発的な行為を控え実質的な対話に取り組むよう求めています。

一方、声明では、4か国で実践的な協力を進めていく姿勢も強調していて、具体的な取り組みが明記されました。

新型コロナ対応では、安全で有効なワクチンを必要な時に、必要な場所に提供し、臨床試験を含めた科学技術分野での協力などを通じ「健康安全保障」の構築に取り組むとしています。

また、インフラ分野で、今後5年間で500億ドル以上の支援や投資の実施を目指すほか、
気候変動問題に対応する新たな枠組みを立ち上げ、クリーンエネルギー分野での協力を進めるとしています。

さらに、重要・新興技術の分野では、高速・大容量の通信規格5Gなどの新しい通信規格のネットワークの推進や、競争力のある半導体市場の実現を目指すことや、
宇宙分野では、防災などの課題に対応するため、4か国の衛星データを地域諸国に提供することも盛り込まれています。

声明は最後に、日米豪印4か国の活動を定例化するとしたうえで、次の対面での首脳会合を、来年オーストラリアが主催して開催することを明記しています。

サイバーセキュリティーの分野でも協力体制

日米豪印4か国によるクアッドの共同声明ではサイバーセキュリティーの分野で4か国がパートナーシップを結び、「サイバーセキュリティーを強化するために共同のアプローチをとっていくことが急務である」として、協力体制をつくるとしています。

具体的には、▽サイバー空間において脅威となる情報を互いに共有することで、各国の重要インフラの保護を強化するとしています。

重要インフラをめぐっては、「ランサムウエア」と呼ばれる身代金要求型のコンピューターウイルスによって攻撃を受けるケースが起きていて、アメリカ最大級の石油パイプラインが去年、ロシアに拠点を置くハッカー集団から攻撃を受けるなど国際的な課題となっています。

また、▽各国の政府機関が調達するソフトウエアについては、共通のセキュリティー基準を持つように整合性をとっていくことが盛り込まれています。

ソフトウエアのセキュリティーリスクをめぐっては、アメリカは去年5月、政府機関に提供されるソフトウエアについて、事業者にソフトを構成する要素を開示するよう求める大統領令を出すなど、いち早くセキュリティー強化を打ち出しています。

今回の共同声明にサイバーセキュリティーの分野が盛り込まれた背景には、ウクライナ情勢などを受けて、サイバー空間でも安全保障上の脅威が高まっていることから、4か国で結束して対策の取り組みを共有し、脅威に対抗しようという狙いがあり、今回の合意を受け、日本でも今後、具体的な対応が進められることになります。

松野官房長官 “東京から世界に発信 極めて大きな意義”

松野官房長官は午後の記者会見で「4か国の首脳が一堂に会して幅広い分野で実践的な協力の進捗(しんちょく)状況を確認し、4人のコミットメントを東京から世界に力強く発信できたことは、極めて大きな意義があったと考える」と述べました。

中国「海洋秩序の構築を脅かさないよう求める」

クアッドの首脳会合のあと発表された共同声明で、中国を念頭に、現状を変更し、地域の緊張を高めるあらゆる威圧的、挑発的な行動などに強く反対するとしていることについて、中国外務省の汪文斌報道官は、24日の記者会見で「中国はこれまで国際法に関する義務を積極的に果たしてきた」と強く反発しました。

そのうえで「関係国には、色眼鏡をかけて根拠なく非難したり、小さなグループを作って対立をあおったりせず、平和で安定し、協力的な海洋秩序の構築を脅かさないよう求める」とけん制しました。

また、23日に行われた日米首脳会談の共同声明で、中国が覇権主義的行動を強めているなどと言及したことに対し、汪報道官は「中国と地域の国々の深刻な懸念を顧みず、中国に関する問題を操作して攻撃、中傷し、乱暴に内政に干渉しており、強烈な不満と断固とした反対を表明する」と述べ、両国に厳正な申し入れを行ったことを明らかにしました。