都内のロシア女性 母国の両親と対立も 反戦の思い発信続ける

母国がウクライナに軍事侵攻した日から、3か月。都内に暮らすロシアの女性は、今もロシア国内で流される情報を信じている両親と意見が対立するなど、断絶に苦しみながらも「故郷で声を上げられない人に代わって反戦の思いを伝えたい」とSNSで発信し続けています。

6年前、ロシアから来日したデォミナ・クリスティーナさん(27)は、訪日観光客向けのウェブメディアで、日本の魅力を発信しています。

日本での仕事を故郷の両親は応援してくれていましたが、ロシアのウクライナ侵攻を境にその関係は一変したと言います。

軍事侵攻を知って反戦デモに参加した様子をSNSで発信したクリスティーナさん。

それに対し、父親からは「ロシアは世界平和のためにネオナチと戦っている。海外のニュースはウクライナが動画をつくって流しているだけで、それを理解していないあなたは国の敵だ」というメッセージが届いたと言います。

ロシア国内で流される情報を信じる両親とチャット上での口論が続き、現在はほとんど連絡を取らなくなったということで、クリスティーナさんは「私が何を説明しても『全部うそだ』と言われ、まるで自分の親ではなくなってしまったようです。帰国したら、両親が私を警察に通報するのではないかとさえ心配になり、母国には帰れません」と話します。

家族との関係悪化に胸を痛めるクリスティーナさんですが、軍事侵攻から3か月となった今も抗議の声を上げ続けています。

「ロシアの友人は戦争に反対していても怖くてSNSで発信できません。日本で自由に発言できる私が代わりに、戦争に反対しているロシア人がいることを世界の皆さんに伝えないといけない」と話します。

そのうえで「3か月がたち、いちばん怖いのはこの状況に慣れてしまうこと。ロシア兵がウクライナの民間人を殺し、私と同じ年代のロシア兵も多く亡くなっています。この戦争が異常だということを忘れたくないし、忘れてほしくありません」と話していました。