松尾芭蕉 直筆の「野ざらし紀行」挿絵付きの1冊見つかる 京都

江戸時代の俳人、松尾芭蕉が記した紀行文「野ざらし紀行」で、2冊あるとされてきた直筆のもののうちの、挿絵付きの1冊が見つかり、専門家の鑑定で本物と確認されたと、京都の美術館が発表しました。

これは24日に京都市右京区の福田美術館が記者会見を開いて発表しました。

「野ざらし紀行」は、40代だった松尾芭蕉が1684年から翌年にかけて、江戸から京都、奈良などを旅した際に残した初めての紀行文です。

直筆のものは、これまで2冊あるとされ、俳句だけをしたためた1冊は奈良県の天理大学の附属図書館に保管されていますが、俳句に挿絵を添えたもう1冊は、長年、所在がわからなくなっていたということです。

去年11月、大阪の美術商から福田美術館に情報が寄せられ、専門家に鑑定を依頼した結果、筆跡から直筆の本物だと確認されたということです。

芭蕉は俳句だけでなく、絵もいくつか残していますが、紀行文で挿絵が付いたものは、ほかには見つかっていないということで、今回のものには、富士山や海からのぼる朝日など、各地の風景が描かれています。

このうち、奈良を訪ねた際は「お水取り」の名でも知られる東大寺の伝統行事を題材にして「水とりや 氷の僧の 沓の音」という句と二月堂の絵を残しています。

俳諧の研究者で、鑑定にあたった関西大学の藤田真一名誉教授は「俳句と挿絵の配置の関係など、今後、芭蕉の研究を進めるうえで貴重なものだ」と話しています。