軍事侵攻から3か月 ロシアとウクライナ双方の攻防 長期化へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から24日で3か月となります。ロシア軍はウクライナ東部2州の完全掌握に向けて攻勢を強めていますが、欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍が反撃し、双方の攻防は収束の兆しが見えないまま長期化する見通しです。

ロシアがことし2月にウクライナに軍事侵攻してから、24日で3か月となります。

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、動画を公開し、「2月24日以降、ロシア軍は1474回のミサイル攻撃を行い、その大半は民間施設をねらったものだった」と述べました。

そのうえで「航空機やヘリコプターによる空爆は3000回以上に及び、これだけの攻撃に耐えた国はほかにはないだろう」と述べ、ロシア軍の攻撃に対してウクライナは善戦しているという見方を示すとともに、侵攻開始から3か月間にわたるロシア軍の戦闘行為を強く非難しました。

ロシア軍は20日、激しい攻防を続けてきた東部ドネツク州の要衝マリウポリを掌握したと宣言したあと、ドネツク州と隣接するルハンシク州の完全掌握を目指し、特にルハンシク州については近く全域を完全掌握する見通しだとして、州内でウクライナ側の最後の拠点とも言われるセベロドネツクへの攻勢を強めています。

さらにロシア軍は、掌握したとする南部ヘルソン州などで支配の既成事実化を強めていて、23日には州の親ロシア派の代表者が「ロシアの通貨ルーブルとウクライナの通貨フリブニャを同時に使用する」と主張しています。

一方でロシア軍は部隊の指揮系統や兵器の不足など、多くの課題も指摘されています。

こうした中、スイスのジュネーブにあるロシア政府の代表部では、ロシアの外交官が軍事侵攻を続ける政府に抗議して辞職したことが明らかになるなど、足並みの乱れも目立っています。
これに対して、アメリカのオースティン国防長官は23日、ウクライナの防衛について話し合う関係国による会議で、デンマークがウクライナに対艦ミサイル「ハープーン」を供与すると明らかにしていて、ウクライナ軍は欧米の軍事支援を追い風に反撃を強め、東部での攻防は激しさを増しています。

侵攻から3か月がたち、東部や南部を中心に支配を強めようとするロシアと、これを押し返そうとするウクライナの攻防は、収束の兆しが見えないまま長期化する見通しです。