長野と岐阜の県境 焼岳 噴火警戒レベル2に 噴石に警戒 気象庁

長野と岐阜の県境にある北アルプスの焼岳で火山活動が高まっているとして、気象庁は24日午前、火口周辺警報を発表し噴火警戒レベルを「2」に引き上げました。気象庁は想定火口域からおおむね1キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石などに警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、長野と岐阜の県境にある北アルプスの焼岳では山頂付近の緩やかな膨張が続き、23日夜から微小な火山性地震が増えているということです。

火山性地震は23日夜11時からの1時間で12回観測され、その後は1時間あたり数回程度で推移し、24日午後3時までに合わせて49回観測されています。

このため気象庁は想定火口域からおおむね1キロの範囲に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして24日午前9時30分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「1」から火口周辺への立ち入り規制を示す「2」に引き上げました。焼岳の噴火警戒レベルが「2」になるのは2011年の制度導入以降、初めてです。

気象庁は想定火口域からおおむね1キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石に警戒し、地元自治体などの指示に従って危険な地域に立ち入らないよう呼びかけています。また噴火した場合、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石も風に流されて降るため注意が必要です。

専門家「昨晩からは異常事態に入っている」

焼岳の研究を続けている信州大学の齋藤武士教授は「2017年と2019年には火山学者が注目するような空振を伴う火山性地震が起きたが、その時は噴火警戒レベルが上がらなかった。今回間違いなく言えることは焼岳の活動がこれまでの10年20年と比べて、昨晩からは異常事態に入っているということだ」と危機感を示しました。

また今後については詳しいデータ解析などを行う必要があるとしたうえで「地熱活動が盛んになったり噴気の温度が上がったりといったさまざまな異常が出てくると恐ろしいが、今のところは地震活動だけだと聞いてる。当然警戒は必要だが、注意して推移を見守るという段階だ」と述べました。

そのうえで齋藤教授は「特に想定される水蒸気噴火では火口周辺に最も噴石が飛ぶので、周辺に近づかず警戒区域内には入らないことがいちばん大事だ」と呼びかけました。

過去に繰り返し水蒸気噴火が発生

気象庁や長野県によりますと、焼岳では過去に繰り返し水蒸気噴火が発生しています。

昭和37年には噴火に伴う噴石で火口付近にあった当時の焼岳小屋が壊れ、従業員2人がけがをしました。また平成7年には山頂から3キロほど離れた山すその工事現場で水蒸気爆発が起きて、作業員4人が死亡しました。

登山道の入り口に立ち入り規制の看板設置

焼岳の噴火警戒レベルが「2」に引き上げられたことを受けて、山頂につながる登山道の入り口には登山者の立ち入りを規制する看板が設置されました。

松本市は焼岳の噴火警戒レベルの引き上げに伴い、2つの登山道の入り口など4か所に立ち入りを規制する看板を設置しました。このうち山の南側にある新中ノ湯の登山道の入り口では午後1時すぎ、県警のヘリコプターなどから下山の呼びかけを受けた登山者たちが次々と山を下りてきました。

愛知県から訪れた62歳の男性は「御嶽山の例もあったので登っている時も注意をしなければいけないと話をしていましたが、噴煙などの異変は感じなかったのでヘリから下山するように言われた時はとてもびっくりしました」と話していました。

また石川県から訪れた36歳の女性は「ヘリから下山するようにと呼びかけが聞こえたので、理由はわかりませんでしたが素直に山を下りました。特に地震の揺れは感じなかったが、石が転げ落ちるところを見てあぶないと思いました」と話していました。

松本市によりますと、焼岳の想定火口域から1キロの範囲内にある焼岳小屋は冬の休業期間を終えて来月17日から営業を再開する予定でしたが、噴火警戒レベルが「2」の間は引き続き閉鎖されるということです。