ウクライナ 戒厳令と総動員令の延長決定 長期戦に備える構え

ロシア軍はウクライナの東部2州全域の掌握をねらって攻勢を強め、このうちルハンシク州では、子どもを含む200人以上が避難していた学校が砲撃を受けて2人が死亡したと伝えられました。
軍事侵攻からまもなく3か月になるのを前に、ウクライナは戒厳令と総動員令の延長を決定し、長期戦に備える構えを示しています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは東部の要衝マリウポリを完全に掌握したと発表したあと、東部のドネツク州とルハンシク州の全域の掌握をねらって攻勢を強めています。

ロシア国防省は22日、2つの州にあるウクライナ軍の指揮所や弾薬庫をミサイルで破壊したと発表したほか、ルハンシク州セベロドネツクの西方では、司令部などを攻撃して200人以上を殺害したと主張しました。

一方、ドネツク州の知事は21日、日本政府の支援を受けて2016年に改修された、スビャトヒルスクにある音楽学校がロシア軍の攻撃で破壊されたことを明らかにしました。

また、ウクライナの公共放送は、21日に公開した動画で、東部の被害の様子を伝えていて、このうちセベロドネツクでは、子どもを含む200人以上が避難していた学校がロシア軍の砲撃を受け、2人が死亡したということです。

セベロドネツクをめぐっては、イギリス国防省が22日「ロシアにとって戦術的な優先地域の1つだ」としたほか、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「ルハンシク州におけるウクライナ側の最後の拠点」だとしてロシア軍が包囲に動くとみられると分析しています。

こうした中、ウクライナの議会の「最高会議」は22日、ロシア軍の侵攻直後に出された戒厳令と総動員令を、今月25日からさらに90日間延長する大統領令を承認しました。

ゼレンスキー大統領はこれに先立つ21日のビデオ演説で「これまでにロシア軍は1873の教育施設を破壊した」と非難した上で「われわれはセベロドネツクなどでロシアの進撃を阻止している。今後も勝利に向かって戦い続ける必要がある」と国民に呼びかけ、長期戦に備える構えを示しています。