豪総選挙 最大野党勝利 9年ぶり政権交代の見通し 地元メディア

21日に投票が行われたオーストラリアの総選挙で、地元メディアは最大野党の労働党が議会下院で勝利し、9年ぶりに政権が交代する見通しになったと伝えています。

21日に投票が行われたオーストラリアの総選挙で、公共放送のABCは日本時間の22日午後6時の時点で議会下院151議席のうち最大野党の労働党が72議席、与党の保守連合が52議席、無所属などが14議席を獲得し、労働党が第1党になることが確実になったとしています
地元メディアは労働党が単独で過半数の議席を獲得できるのかはわからないものの、無所属議員などの協力を得られる方向で、9年ぶりに政権が交代する見通しになったと伝えています。

モリソン首相は21日夜「国民は審判を下した。労働党党首のアルバニージー氏に祝意を送るとともに彼の政権の幸運を祈る」と述べ、敗北を認めたうえで政権を譲る姿勢を示しました。

次期首相に就任する見通しとなった労働党のアルバニージー党首は21日夜、支持者の前で「国民は変化を求めて票を投じた。首相として仕える機会を与えられて光栄に思う」と勝利を宣言しました。

また、「東京で行われるクアッドの首脳会合に出席できるよう、月曜の朝、手続きを行うつもりだ」と述べ、24日に予定されている日米豪印の4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席する意向を示しました。

アルバニージー氏は安全保障政策に関して、日本やアメリカなどとの関係を強化することで中国に対抗してきたモリソン政権の基本路線を踏襲する姿勢を示していますが、今後関係が冷え込んだ中国とどのように向き合うのか注目されます。

「クアッド」の首脳会合にあわせ訪日へ

アルバニージー党首は選挙から一夜明けた22日、支持者や報道陣の前に姿を見せました。
この中でアルバニージー氏は、24日東京で行われる日米豪印の枠組み「クアッド」の首脳会合について「オーストラリアにとって優先事項であることは間違いなく、政権交代を世界に伝える機会になる。特に気候変動をめぐっては、政策や世界との関わり方について変化が生じることになるだろう」と述べ、これらの取り組みを各国と進めていきたい考えを強調しました。

そのうえでアルバニージー氏は「クアッドの首脳会合とともに、日本の岸田総理大臣、アメリカのバイデン大統領、そしてインドのモディ首相それぞれとの首脳会談も予定されている。出席するのを楽しみにしている」と述べ、「クアッド」の首脳会合にあわせて日本を訪問する考えを示しました。

アルバニージー氏とは

最大野党・労働党の党首、アンソニー・アルバニージー氏は、最大都市シドニー出身の59歳。1996年に下院議員に初当選しました。

労働党が政権を握った2007年にはインフラ・交通相に就いたほか、2013年にはラッド政権でおよそ3か月間、副首相を務めました。労働党が2013年の総選挙で敗れて野党となったあと、2019年から党首を務めています。

労働党は、50年前に中国と国交を結んだほか、経済面での連携強化を進めるなど過去には与党・保守連合と比べて中国に融和的な立場をとってきました。

しかし、モリソン政権下でオーストラリアと中国の関係が急速に冷え込み、国民の間で
中国への警戒感が高まる中、アルバニージー氏は「中国寄り」とされる党のイメージを払拭(ふっしょく)しようと、中国に対して厳しい姿勢を貫くと訴えてきました。

選挙戦では南太平洋のソロモン諸島が中国との間で安全保障に関する協定を結んだことについて、モリソン政権が中国に太平洋地域に入り込む隙を与えたとして「現政権の戦略の誤りで、対応の遅れが招いた最大の失策だ」と批判してきました。

一方でアルバニージー氏は安全保障政策の基本路線はモリソン政権を踏襲する姿勢を示していて、▽モリソン政権がアメリカ、イギリスとともに創設した安全保障の枠組み「AUKUS」や、▽日米両国にインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」の連携を重視する方針が大きく変わることはないとみられています。

このほか、アルバニージー氏は選挙戦で気候変動対策や最低賃金の引き上げを訴えて若者などを中心に支持を広げました。

アルバニージー氏は選挙での勝利が確実になった21日夜、支持者を前に「私は母子家庭のもと、公営住宅で育った」とみずからの生い立ちに触れ、社会的に弱い立場の人たちへの支援を充実させる必要性を強調しました。

岸田総理大臣がアルバニージー氏に祝辞

オーストラリアの次期首相に、アンソニー・アルバニージー党首が就任する見通しとなったことを受けて、岸田総理大臣は祝辞を送り「オーストラリアの総選挙で、労働党が勝利をおさめたことに対し、心からお祝いを申し上げる。次期首相となるアルバニージー党首と緊密に連携していけることをうれしく思う」としています。

そのうえで岸田総理大臣は「日本とオーストラリアは、自由、民主主義といった基本的価値を共有する『特別な戦略的パートナー』であり、現在の強固な日豪関係をさらに発展させるとともに『自由で開かれたインド太平洋』を実現するため協力して取り組んでいきたい。近く東京でお目にかかる機会を楽しみにしている」としています。

英ジョンソン首相も祝意

イギリスのジョンソン首相は21日、オーストラリアの次期首相に就任する見通しとなったアルバニージー氏に対し、ツイッターで祝意を示しました。

このなかで首相は「イギリスとオーストラリアは、包括的な自由貿易協定やAUKUS、そして両国の人々の間の親密な関係によって恩恵を得てきた」として、今後、アルバニージー氏と協力していくことを楽しみにしていると強調しました。