ドイツ カタールとLNG輸入の協力強化で合意 ロシア依存脱却へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ドイツ政府はエネルギーのロシア依存からの脱却を急ごうと、世界有数のLNG=液化天然ガスの輸出国中東カタールとの間で、ガスの輸入を含めた協力関係を強化させることで合意しました。

ヨーロッパ最大の経済大国、ドイツは、輸入する天然ガスの55%をロシア産が占めていましたが、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア依存からの脱却を進めるため、調達先の切り替えが課題となっています。

ドイツ政府は20日、世界有数のLNG輸出国、カタールのタミム首長のドイツ訪問に合わせ、LNGの輸入を含めたエネルギー関係の協力を強化する文書を交わしたと発表しました。

両国が交わした文書では、LNGの受け入れがいつ始まるかなど詳しい内容は盛り込まれていませんが、カタールのムハンマド外相は、ドイツメディアのインタビューに対し、再来年には輸出を始められる見通しだと答えています。

カタールとの合意について、ドイツのショルツ首相は記者会見で「十分な量のLNGを確保することになる。これは大きな大きな前進だ。カタールはドイツの戦略の柱を担う」と述べ、ガスの確保が進むことに期待を示しました。

ドイツは、ロシア産に代わるガス確保の見込みに一定のめどをつけた形ですが、国内に海外からのLNGを受け入れる基地がなく、施設の工事を始めるなど対応を急いでいます。

ドイツの元首相 ロシア最大の石油会社の会長職を退任へ

ドイツの元首相で、ロシア最大の石油会社「ロスネフチ」の会長職を5年前から務め、ロシア寄りだと批判されてきたシュレーダー氏が、会長職を退任する意向を20日、発表しました。

発表した「ロスネフチ」によりますと、シュレーダー元首相は「任期を延長するのが不可能になった」と伝えてきたということですが、詳しい理由は示されていません。

シュレーダー元首相をめぐっては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後も「ロスネフチ」などロシアのエネルギーに関係する企業の要職にとどまり、ドイツ国内で批判が高まっていました。

批判の高まりを受けて、ドイツ連邦議会の委員会は19日、元首相に対し、議会内の事務所を使う権利を停止する異例の動議を賛成多数で可決しました。

またショルツ首相は、元首相に対し、ロシアとの関係を断つよう、繰り返し求めていました。