オーストラリアで総選挙 約9年ぶり政権交代するかどうかが焦点

オーストラリアの総選挙は、投票が始まりました。
最大野党・労働党の支持率が与党・保守連合を上回る中、およそ9年ぶりに政権が交代するかどうかが焦点となっています。

オーストラリアの総選挙の投票は、最大都市シドニーや首都キャンベラなどで、日本時間の21日午前7時から始まりました。

オーストラリアの総選挙では、151ある議会下院の議席の過半数を獲得した勢力が政権を担うことになっていて、モリソン首相が率いる与党・保守連合と、最大野党・労働党の争いとなっています。

最新の世論調査によりますと、二大勢力に限った支持率は、保守連合が47%なのに対し、労働党が53%と与党を上回り、およそ9年ぶりに政権が交代するかどうかが焦点となっています。

選挙戦でモリソン首相は、新型コロナで打撃を受けた経済を立て直した実績や、関係が冷え込む中国への厳しい対抗姿勢などを強調しました。

これに対して、労働党のアルバニージー党首は、気候変動対策や最低賃金の引き上げを訴えて若者などを中心に支持を広げ、接戦となっています。

投票は、日本時間の午後7時までにすべて締め切られ、即日開票されます。

モリソン首相とは

スコット・モリソン首相は最大都市シドニー出身の54歳。

2007年に下院議員に初当選し、移民・国境警備相や財務相などを歴任したのち、4年前、自由党の党首に選ばれ、首相に就任しました。

選挙戦でモリソン首相は、新型コロナで打撃を受けた経済を立て直した実績や中国への厳しい対抗姿勢などを強調し、安定した政権運営を継続すると訴えました。

モリソン政権下では、ここ数年で中国との関係が急速に冷え込みました。

おととし、モリソン首相が「新型コロナの発生源を解明するための独立した調査が必要」との見方を示したのに対して中国が強く反発し、オーストラリア産の牛肉や大麦、ワインなどの輸入を制限する措置を相次いでとりました。

モリソン首相は中国に屈しない強い姿勢を貫いてきましたが、中国は先月、南太平洋のソロモン諸島と安全保障に関する協定を結んだと発表。

太平洋地域で影響力を拡大しようとする中国の動きに対し、モリソン首相はアメリカ、イギリスとの3か国による安全保障の枠組み「AUKUS」や、日米両国にインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」を通じて多国間の連携を強化することで中国をけん制する姿勢を見せてきました。

労働党の党首 アルバニージー氏とは

最大野党・労働党の党首、アンソニー・アルバニージー氏は最大都市シドニー出身の59歳。

1996年に下院議員に初当選しました。

労働党が政権を握った2007年にはインフラ・交通相に就いたほか、2013年にはラッド政権でおよそ3か月間、副首相を務めました。

労働党は2013年の総選挙で敗れて野党となり、2016年に続いて前回2019年の総選挙でも政権奪還を逃し、アルバニージー氏はその直後から党首を務めています。

労働党は、50年前に中国と国交を結んだほか、経済面での連携強化を進めるなど、過去には与党・保守連合と比べて中国に融和的な立場をとってきました。

しかし、モリソン政権下でオーストラリアと中国の関係が急速に冷え込み、国民の間で中国への警戒感が高まる中、アルバニージー氏は「中国寄り」とされる党のイメージを払拭(ふっしょく)しようと、中国に対して厳しい姿勢を貫くと訴えてきました。

選挙戦では、南太平洋のソロモン諸島が中国との間で安全保障に関する協定を結んだことについて、モリソン政権が中国に太平洋地域に入り込む隙を与えたとして「現政権の戦略の誤りで、対応の遅れが招いた最大の失策だ」と批判してきました。

一方でアルバニージー氏は安全保障政策の基本路線はモリソン政権を踏襲する姿勢を示していて、選挙の結果、政権を担うことになっても、モリソン政権がアメリカ、イギリスとともに創設した安全保障の枠組み「AUKUS」や、日米両国にインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」の連携を重視する方針が大きく変わることはないとみられています。

このほか、アルバニージー氏は選挙戦で気候変動対策や最低賃金の引き上げを訴えて若者などを中心に支持を広げました。