ロシア軍 東部で攻勢強める構えも 十分な戦果得られない可能性

ロシアのショイグ国防相はウクライナ東部の要衝マリウポリで、ウクライナ軍の兵士など、1900人以上が投降したと明らかにし、さらに掌握を目指す東部ルハンシク州について「まもなく解放される」と述べ、攻勢を強める構えを示しました。
一方で、現場の司令官が、目標を達成するよう圧力をかけられているため、適切な準備をせずに部隊を展開することで十分な戦果を得られない可能性があるという見方も出ています。

ロシアのショイグ国防相は20日、国防省で開かれた会議で、ロシア軍が包囲を続けてきたウクライナ東部の要衝マリウポリの製鉄所では、ウクライナ側から合わせて1908人が投降したと明らかにしました。

さらに、ショイグ国防相は「東部のドンバス地域で、支配を拡大している。東部ルハンシク州の解放はまもなく達成される」と述べ、ルハンシク州での戦闘が大詰めを迎えているという認識を示し、東部2州全域の掌握に向け攻勢を強める構えです。
東部の戦況をめぐってウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ルハンシク州のセベロドネツクで、ロシア側の攻撃により12人が死亡し、数十人がけがをしたと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は「犯罪的な試みで虐殺と見なされるべきで、占領者は必ずや裁きを受けるだろう」と非難しました。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は19日の分析で、ロシア軍は、ルハンシク州セベロドネツクでのさらなる攻勢に備えて、その南に位置するポパスナでの侵攻を強化していると分析しています。
ロシア軍は、セベロドネツクを攻略し、完全掌握を目指しているルハンシク州で支配地域をさらに拡大したいねらいとみられます。

一方、ロシア軍の動きについて、イギリス国防省は20日「ロシア軍は、マリウポリを押さえたあと、東部ドンバス地域の作戦を強化するため部隊を移動する可能性が高い。しかし、マリウポリでのウクライナ側の抵抗によってロシア軍は部隊を整備し、改修する必要がある」と指摘しています。

しかし「現場の司令官は、目標を達成するよう圧力をかけられているため、適切な準備をせずにすぐに部隊を展開する可能性がある」として、準備不足から十分な戦果を得られない可能性があるという見方を示しました。

欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍は、反撃を一層強める姿勢で、東部で激しい攻防が続く見通しです。