ロシア軍 東部マリウポリと2州掌握ねらう ウクライナ抗戦強調

ロシア軍は、東部の要衝マリウポリの完全掌握とともに東部2州全域の掌握をねらい、各地で攻撃を続けています。これに対しウクライナ側は、一部でロシア軍の部隊を押し返していると分析され、クレバ外相が一方的に併合されたクリミアの解放にも言及するなど徹底抗戦の姿勢を強調しています。

ロシア国防省は19日、ウクライナ東部の要衝マリウポリでウクライナ側の拠点アゾフスターリ製鉄所から今月16日以降、合わせて1730人が投降したと発表しました。ロシア軍は、マリウポリの完全掌握とともに東部2州全域の掌握をねらっていると分析され、ロシア国防省は東部ドネツク州などで武器庫や対空ミサイルシステムを破壊したと主張しました。

ロシア軍の攻撃についてウクライナのゼレンスキー大統領は19日、東部2州は「完全に破壊された」などと訴えて攻撃が激しくなっているとしたうえで「大量虐殺だ」と非難しました。

戦況についてアメリカ国防総省の高官は、マリウポリではかつてのような攻撃は見られないとして、ロシア側はウクライナ側の抵抗は終わったと見ているという分析を明らかにしました。一方でこの高官は、第2の都市ハルキウ周辺でロシア軍が空爆を続けているのに対し、ウクライナ軍の部隊が押し返しているという見方を示しました。

またイギリス国防省はロシア軍が勢いを失っているというここ最近の見方とともに、軍の幹部が解任されていると指摘し、東部ハルキウで戦車部隊を指揮した司令官や旗艦「モスクワ」が沈没した黒海艦隊の司令官らが責任を追及されたとしています。

さらに、現場の将校たちは責任を回避するためより上層部に決定を委ねる事態になっているとして「このような状況でロシアが主導権を取り戻すことは困難だろう」と分析しています。

ロシアの攻撃に対しウクライナの内務相顧問は「敵は6月終わりから7月のはじめにかけて、私たちの反撃を強く感じることになるだろう」と述べました。

さらにクレバ外相は、インタビューでロシアに勝利したと見なすには東部2州などに加え8年前にロシアが一方的に併合したクリミアも解放される必要があるという認識を示し、徹底抗戦の姿勢を強調しています。