タイ人活動家襲撃事件 43歳被告の初公判 検察 懲役2年を求刑

3年前、タイ人の活動家で京都大学准教授の自宅に侵入し、催涙スプレーをかけてけがをさせたとして、傷害などの罪に問われている被告の初公判が開かれ、検察は「共犯者の指示を受けて被害者を襲撃した計画的な犯行だ」として懲役2年を求刑しました。
タイ人の准教授はタイの王室に批判的な活動家として知られ「私を襲った目的を教えてほしい」と訴えました。

無職の佐藤竜彦被告(43)は3年前、何者かと共謀して、タイ人の活動家で京都大学准教授のパビン・チャチャワンポンパン氏の京都市内の自宅に侵入し、就寝中のパビン氏ら2人の顔などに催涙スプレーをかけてけがをさせたとして、傷害と住居侵入の罪に問われています。

19日、京都地方裁判所で初公判が開かれ、佐藤被告は「間違いありません」と起訴された内容を認めました。

パビン氏は元外交官で、タイで以前はタブー視されていた王制改革を訴えるなど、王室に批判的な活動家として知られています。

裁判にはパビン氏も出廷し、「私はあなたに会ったこともないし、あなたのことを知りません。誰かの代わりに襲ったのであれば、誰に依頼され、目的が何だったのか教えてほしい」などと訴えました。

一方、佐藤被告は「先輩に嫌がらせをしてくれとしつこく頼まれたのでやったが名前は言いたくない」と答えていました。

このあと論告で検察は「共犯者の指示を受けて全く面識のない被害者を襲撃している。少なくとも一度、事前に下見をしており、計画的で巧妙な犯行だ。ほかにも複数の人物がかかわっており、組織的な犯行だ」と指摘し、懲役2年を求刑しました。

タイでは王制改革を訴えるグループと擁護するグループの対立が続いていて、裁判のあとパビン氏は「事件のあと、どこにいても襲われるのではないかと恐怖を感じて過ごしています。厳しい判決を望みます」と訴えていました。

パビン氏「罪に見合った最も厳しい判決を」

裁判のあと、パビン氏はNHKの取材に応じ「事件後も毎日不安を抱えています。身体的な影響は数日で消えましたが、精神面での影響はずっと残っています。毎晩、施錠を何度も確認しなければ眠れませんし、わずかな音でも目覚めてしまいます」と話しました。

そのうえで「被告は誰が背後にいるのかすら言わず、捜査に協力しませんでした。謝罪を受け入れることはできません。被告に対しては、罪に見合った最も厳しい判決を望みます。これは犯人だけでなく、犯行に関わった他の人たちへのメッセージでもあります」と話していました。

パビン・チャチャワンポンパン氏とは

パビン・チャチャワンポンパン氏は元外交官で、タイで王室への中傷を禁じる不敬罪の廃止を含め、王制改革を訴える活動家として知られています。

2012年に来日し、京都大学の准教授を務めていますが、2014年にはタイ当局の出頭要請に応じなかったことを理由にタイの外務省からパスポートを無効化されています。

パビン氏は、現在も日本を拠点に、タイで行われる王制改革を求める若者らのデモを支援したり、みずからのSNSで王室を批判するコメントを掲載したりしていて、2年前には王室を擁護し、現在の政権を支持するグループがタイに強制送還するよう日本政府に申し入れを行いました。