東部2州全域掌握へ攻勢強めたいロシア軍 勢い失速の見方も

ロシア国防省は、ウクライナ東部の要衝マリウポリの製鉄所からこれまでにウクライナ側の兵士など1730人が投降したと発表しました。
ロシアは製鉄所の制圧後、東部2州全域の掌握に向けて攻勢を強めたい構えですが、ロシア軍の勢いは失われているという見方も出ています。

ロシア国防省は19日、ウクライナ東部の要衝マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所からこれまでの24時間で新たに771人が投降し、今月16日以降、ウクライナ側から合わせて1730人が投降したと発表しました。

ウクライナ軍の参謀本部は、製鉄所での戦闘任務は終わったとしていますが、親ロシア派の武装勢力側は、製鉄所にはウクライナ側の司令官などがまだ残っていると指摘しています。

ロシアによる東部での攻撃が続くなか、ドネツク州のキリレンコ知事は、17日と18日の2日間でロシア軍の攻撃によって州内で市民17人が死亡し、少なくともこのうち2人は子どもだったと明らかにしました。

ロシアで軍事開発を担当するボリソフ副首相は、18日、ウクライナでの軍事作戦でロシア軍が新型のレーザー兵器、「ザディラ」を投入し、この兵器は5キロ離れた無人機などを破壊できるなどと誇示しました。

これに対し、ゼレンスキー大統領は18日、このレーザー兵器について「ナチス・ドイツも戦争で勝つ見通しがなくなると『驚異の兵器』の宣伝を始めていた。ロシアの侵攻が完全に失敗したことを示している」と痛烈に批判しました。

ロシア軍の動きについてイギリス国防省は19日、ロシアが成果をあげられていないとする幹部を解任しているとして、東部ハルキウの侵攻に従事していた司令官や、旗艦「モスクワ」が沈没した黒海艦隊の司令官などが責任を追及されたという見方を示しています。

そのうえで、ロシア軍が劣勢にあるともされる中、現場の将校たちは責任を回避するため、より上層部に決定を委ねる事態になっているとして「このような状況でロシアが主導権を取り戻すことは困難だろう」と分析しています。

ロシアはマリウポリの完全掌握の後、東部2州全域への掌握に向け攻勢を強めたい構えですが、ロシア軍の勢いは失われているという見方も出ています。