“屋外で会話少なければ必ずしもマスク必要なし” 専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染者数は大型連休前の水準より低くなっている一方、過去最多となっている沖縄県では増加傾向が続くなど地域で差があるとして、引き続き、基本的な感染対策や体調管理を徹底するよう呼びかけました。

マスクの着用については屋外で周りの人との距離が確保できる場合や、距離がとれなくても会話が少ない場合は必ずしも必要ではないとしています。

全国は大型連休前より低く 沖縄は過去最多に

専門家会合は、現在の感染状況について全国では大型連休前の水準より低くなり、首都圏などで去年夏の第5波のピークを下回っている一方、特に沖縄県では感染者数が過去最多で増加傾向も続いていると指摘しました。

また、各地で20代が顕著に増加していて、沖縄県では30代以下の若い世代とともに、60代以上の高齢者でも大きく増加しているとしています。
大型連休後に学校での感染の割合が増えているほか、大都市圏を中心に夜間の繁華街の人出が大型連休後に増加に転じた地域もあり、今後の動向を注視する必要があるとしています。

医療体制について全国では重症者数が減少し、亡くなる人の数が横ばいになっている一方、沖縄県では入院者数や病床使用率の増加が続き、重症病床の使用率も2割台で横ばいとなっているとしました。

こうした感染や医療体制の状況を踏まえ、専門家会合はワクチンの3回目の接種をさらに進めるとともに、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。

マスク着用“屋外で会話少なければ必ずしも必要ない”

さらに、マスクの着用について専門家会合は飲食の際に食べたり飲んだりするとき以外はマスクをするほか、人混みでは適宜着用することが必要だとした一方、屋外で周りの人との距離が確保できる場合や、距離がとれなくても会話が少ない場合は必ずしも必要ないとしました。

また、小学校入学前の子どもにはマスクの着用を一律に求めないことを幅広く周知することが必要だと指摘しました。

脇田座長「混雑している場面ではマスク必要」

厚生労働省の専門家会合のあとに開かれた記者会見で、脇田隆字座長は感染状況について、「全国的には増加傾向が続いているが、ここ数日間はやや減少傾向になっている。大都市よりも人口規模の小さい地方で増加傾向となっていて、沖縄県や中国地方、北陸地方、北海道でその傾向が強くなっている。大型連休の際には感染者の増加がみられたが、それが一過性のものなのかが今後、議論になるだろう。ただ、連休でこれだけ人が動いたが、基本的な感染対策をしっかり行ったことやワクチンの3回目接種などである程度、感染の抑制に働いているとみられる」と話していました。

また、屋外で人との距離が十分にとれる場合などはマスク着用の必要は無いなどとする考え方を示したことについては「マスクは感染対策として重要だが、これまでも人との距離が十分に確保できれば着用する必要は無いと言ってきた。ランニングや散歩など屋外で人との距離が十分にあるときはマスクをする必要は無い。屋外で十分に距離が確保できない場合でも会話が少ないならマスクは必ずしも必要ない。ただ、例えば多くの人が利用する公共交通機関での通勤、通学など混雑している場面では必要だ」と話していました。

マスク着用の考え方について街の人は

専門家から示されたマスク着用の考え方について、さまざまな反応がありました。

「怖いのでマスクはずっとつけ続けようと思う。(子どもが小さく)できるかぎりは予防したい」
「どれぐらい外す人が実際いるのかなというのが疑問かなと思う。だんだん外す人が増えてきたら考える」

「もう夏も近いし息もしづらいので外していいときは外したい。(場面に応じてつけたり外したりするのが)マスクのない生活にするための道のりかなと」

全国の新規感染者数 前週比1.07倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、18日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.07倍と増加しています。

首都圏の1都3県では
▽東京都と▽千葉県で1.00倍、
▽神奈川県で1.08倍、
▽埼玉県で0.97倍と横ばいから増加となっています。

関西では
▽大阪府で1.06倍、
▽兵庫県と▽京都府で1.13倍、
東海では
▽愛知県で1.13倍、
▽岐阜県で1.09倍、
▽三重県で1.08倍と増加しています。

また、
▽北海道では1.07倍、
▽宮城県では1.07倍、
▽広島県では1.18倍、
▽福岡県では1.01倍、
▽人口あたりの感染者数が最も多い沖縄県は1.13倍などとなっています。

前の週より新規感染者数が多くなったのは29の道府県で、
▽富山県は1.48倍、
▽静岡県は1.32倍、
▽山形県と▽山口県は1.29倍、
▽石川県は1.25倍などとなっています。

人口10万あたりの直近1週間の感染者数は、沖縄県が突出して多く1014.05人と初めて1000人を超えました。

次いで北海道が345.88人、宮崎県が325.18人、福井県が318.31人、広島県が301.03人、石川県が300.39人、そして大阪府が236.36人、東京都が184.14人などとなっていて、全国では202.96人となっています。

松野官房長官「専門家の科学的な意見も聴き検討」

松野官房長官は、午前の記者会見で「人との距離が十分取れれば、屋外でマスクの着用は必ずしも必要でないと申し上げてきた。特に気温・湿度が高いときは、熱中症のリスクが高くなることから、屋外での人との距離が少なくとも2メートル以上確保できている場合にはマスクを外すことを推奨している。こうした点は引き続き、さまざまな場面で周知・広報に努めていく」と述べました。

そのうえで「大型連休後の感染状況をしっかり確認し、できるだけ平時に近づける努力をしていく考えだ。マスクについてもいろいろな感染対策の論点の1つとして、専門家の科学的な意見も聴いて検討していきたい」と述べました。

後藤厚生労働相「状況を注視していく」

後藤厚生労働大臣は直近の感染状況について「大型連休の影響もあることから単純に判断することは難しい状況だが、全国の新規感染者数は、1週間の平均で、先週比1.07となっている。大型連休などの要因については先週比をしっかり見極めるなど、丁寧に状況を注視していく」と述べました。

そのうえで「特に沖縄県については、新規感染者数が今月11日に過去最高となるなど増加が継続しており、病床や重症病床の使用率も増加が見られる。今月13日から、厚生労働省職員を含む政府のリエゾンチームを派遣しているが、引き続き沖縄県と緊密な連携を図りながら、県の感染対策を支援していきたい」と述べました。