ロシア軍 マリウポリ完全掌握 ウクライナ軍が押し返す地域も

ウクライナ東部のマリウポリでは兵士の投降が続き、ロシア軍は近くマリウポリを完全に掌握して東部のさらなる攻略を目指すものとみられます。一方、東部のハルキウ周辺ではウクライナ軍がロシア軍を押し返していて、戦況は予断を許さない状況が続きそうです。

ウクライナ東部の要衝マリウポリについてロシア国防省は18日「アゾフスターリ製鉄所からウクライナ軍の兵士などが投降し続けている。この24時間で29人の負傷者を含む694人が投降した」と発表しました。これで今月16日以降、ウクライナ側から投降したのは合わせて959人になったとしています。

製鉄所には今も部隊の幹部など一部が残っているとも伝えられていますが、ウクライナ軍の参謀本部は製鉄所での戦闘任務は終わったとしていて、ロシア軍は近くマリウポリを完全に掌握するものとみられます。

またロシア国防省は18日
▽東部ドネツク州にあるウクライナ軍の指揮所や
▽南部ミコライウ近郊の対空ミサイルシステムや基地を
空軍がミサイルで破壊したと発表しました。

アメリカ国防総省の高官は18日、ウクライナ東部でロシア軍が部隊を前進させ、マリウポリからも部隊が向かっていると明らかにし、ロシア軍は東部のさらなる攻略を目指すものとみられます。

マリウポリ市長 “奪還する”

一方、このアメリカ国防総省の高官はウクライナ第2の都市、東部ハルキウ周辺で「ウクライナ軍の部隊は引き続きロシア軍の部隊を国境に向けて押し返している」と述べました。

マリウポリのボイチェンコ市長も18日、NHKのインタビューで「時期が来れば反撃に転じる。われわれが勝利し、私自身も必ずマリウポリに戻る」と述べて、マリウポリを奪還する決意を示しました。

ウクライナ軍は欧米各国から軍事支援も受けて徹底抗戦の構えを崩しておらず、戦況は予断を許さない状況が続きそうです。

一方、マリウポリの製鉄所から投降しロシア軍に拘束された兵士について、ウクライナ側は捕虜の交換を通じて解放を求めているとみられますが、ロシア議会のボロジン下院議長は17日「ナチスの犯罪者は交換されるべきではない」などと述べ、引き渡しに否定的な姿勢を示しました。

ロシアとしては今後の停戦交渉などに向けてウクライナ側を揺さぶり、駆け引きの材料に使いたい思惑もあるとみられます。