ウクライナ避難者 技術生かせず就労に壁 “柔軟に対応して”

ウクライナから避難してきた人たちを支援するため、政府は1年間の就労を認めていますが、医師や美容師など一部の職業は、日本で取得した資格がなければ就労できません。
ウクライナで美容師として働いていた女性は「日本のルールは理解していますが、自分の技術を生かすことができる仕事に就けるよう柔軟に対応してほしい」と訴えています。

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難している人は、16日時点で984人に上っています。

政府は避難生活を支援するため、本人が希望すれば、在留資格を1年間の就労を認める「特定活動」に変更できるとしています。

しかし、医師や美容師など、日本の国家資格がなければ就労することができない職業もあり、避難者や支援団体からは、柔軟な運用を求める声が出ています。

このうち、先月都内に避難してきたマリナ・アズィマさん(39)は、首都キーウで20年間、美容師として働いていたといいます。

日本でも長年培った技術を生かして働きたいと考え、避難の際に商売道具のハサミを持ってきました。
収入がない中、頼みの貯金は、ロシア軍の侵攻以来、およそ3か月に及ぶ避難生活で残りわずかになっているということで、就労できなければ生活が立ちゆかなくなると不安を募らせています。

厚生労働省によりますと、日本で美容師として働くには美容師法で定められた免許が必要で、取得するには専門学校に通わなければならず、少なくとも2年はかかるということです。

マリナさんは「日本のルールは理解していますが、今から専門学校に通い日本の免許を取得する余裕は、時間的にも経済的にもありません。自分の技術を生かすことができる仕事に就けるよう柔軟に対応してほしい」と訴えています。