新型コロナ アメリカで死者が100万人超える

アメリカで新型コロナウイルスに感染して死亡した人が100万人を超えました。社会の正常化の一方で感染対策強化のための予算案の成立の見通しが立っておらず、バイデン政権はワクチンや治療薬の確保に向け議会に承認を求めています。

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと17日、アメリカで新型コロナウイルスに感染して死亡した人が100万人を超えました。

アメリカで初めて死者が報告されたのは2020年2月で、それから2年3か月で100万人以上が命を失ったことになり、現在も一日300人前後の死者が報告されています。

アメリカではオミクロン株の感染拡大がピークを過ぎ、すべての州で公共の場でのマスクの着用義務が廃止されるなど社会はパンデミック前の状態に戻りつつある一方、オミクロン株の変異ウイルス「BA.2」などの拡大で感染者や入院者は増加傾向にあり、再び感染の波が来る可能性も指摘されています。

バイデン政権は50歳以上を対象にしたワクチンの2回目の追加接種や治療薬の供給を増やすなどさらなる対策を進めたい考えですが、議会での与野党の対立で予算案の成立の見通しが立っていません。

次の感染拡大の波に備えたワクチンや薬が確保できなくなる懸念もあり、議会に予算案の承認を求めています。新たな変異ウイルスの出現や後遺症への対処も引き続き課題となっています。

「一人一人に 人生があった」

新型コロナウイルスに感染して亡くなった家族などの記憶をつないでいこうと、アメリカ東部ニュージャージー州の農場に亡くなった3000人以上の名前が書かれた石を並べた記念碑があります。

記念碑を最初に作ったのは農場の近くに住むリマ・サマンさん。2年前に新型コロナウイルスの感染症で亡くなった弟のラミさんをしのんで、去年、石をハート型に並べた記念碑を作りました。

その後、ソーシャルメディアなどを通じて新型コロナウイルスで家族や友人を失った人から連絡があると亡くなった人の名前を書いた石を並べていたところ、みずから現地を訪れて亡くなった人の名前を書いた石を置いていく人も相次ぎ、いまでは3000人以上の名前が書かれた石が置かれています。

サマンさんは「私の弟が亡くなったときはまだアメリカの死者は8万人でした。100万人というのはとても受け止められない数字です。死者はただの数字ではありません。個々に名前が書かれている一人一人に人生があったのです」と話していました。

サマンさんは去年、自身も感染し、その後1年以上ぜんそくのような症状や味覚や嗅覚の障害、けん怠感といった後遺症とみられる症状に悩まされています。

サマンさんは「社会にはマスクの着用や人混みを避けるといった感染対策を否定し、それによってほかの人を危険にさらしていることを理解できない人がいます。アメリカは自由で豊かな国ですが、まだ改善すべき点が多くあることを100万人の死者が証明したと思います。この2年間に起きたことをきちんと受け止め、同じことが起きないようにしなくてはなりません」と話していました。