大型連休後の感染者数急増見られず「いい兆候も対策を」専門家

大型連休が終わってから1週間余りがたちましたが、これまでのところ、心配された連休後の新型コロナウイルスの感染者数の急増は見られていません。

専門家は、多くの人が注意して感染対策をとっているとみられるとしたうえで、これから1週間ほどの間に症状が出ていない人などからの感染を広げないために基本的な対策を続けるよう呼びかけています。

ことしの大型連休は、3年ぶりに行動制限がなかったことから感染拡大が懸念されていましたが、15日の時点で全国の1週間平均の感染者数はおよそ3万9000人と、連休直前の先月28日とほぼ同じ水準で、急増にはつながっていません。

これについて、新型コロナ対策に当たる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「多くの人が旅行に行くときの移動や、行った先の食事の場などでマスクの正しい着用や換気などの対策に注意したことが今の状況につながっているのではないか。都市部で感染者数の大きな増加が見られていないのは非常にいい兆候で、1週間、2週間にわたって大きな増加が見られず、減少傾向が見られるようなことがあれば、大型連休で多くの人が移動して旅行したり、帰省したりした中でも感染者数を増やさずに乗り切ることができたということにつながるのではないか」と話しています。

そのうえで「ただ、市中にはまだウイルスが存在しているので、感染した人からの2次感染、3次感染を起こさないように、今までどおり基本的な感染対策を徹底して維持していくことが重要になる」と述べ、対策を続けるよう呼びかけました。

都内の保健所 大型連休明けの感染再拡大を警戒

大型連休明けで都内の一部の保健所では新型コロナウイルスの感染者の届け出が増える傾向があり、感染が再拡大しないか警戒が続いています。

15日までの1週間に東京都内で発表された新規感染者の数は合わせて2万7000人余りで、前の週から24%増加しています。

北区でも大型連休前に比べて感染者の届け出はおよそ10%増えているということです。

保健所は、大型連休明けは検査を受ける人が増加するため感染者の届け出が増える傾向があるとしつつ、今後1週間程度は感染が再拡大しないかどうか警戒が必要だとして通常のおよそ2倍の体制で対応に当たっています。
北区保健所の前田秀雄所長は「今のところ感染が拡大している兆候は見られないが、今後、社会経済が活性化することで感染が再拡大しないか懸念される。感染者が急増しても業務がひっ迫しないよう医療機関などとの連携体制を強化していきたい」と話しています。