福島第一原発集団訴訟 上告4件の訴訟 審理すべて終わる 最高裁

福島第一原子力発電所の事故で各地に避難した人などが国と東京電力に賠償を求めた集団訴訟のうち、愛媛で起こされた訴訟の弁論が最高裁判所で開かれました。
上告されている4件の集団訴訟は16日ですべて審理が終わり、裁判所によって判断が分かれた国の責任について来月にも最高裁の統一判断が示される見通しです。

16日に弁論が開かれたのは愛媛県に避難した人たちが起こした訴訟で、1審と2審では国の責任が認められています。

福島県南相馬市から避難した渡部寛志さん(43)はともに原告になっている17歳と13歳の娘2人と弁論に臨みました。

意見陳述で渡部さんは「長女は中学生のときに作文で『原発事故がすべてを変えた。何年も何年も引きずり苦しめられ普通の生活に戻れない。生き地獄だ』と書いていた。事故は取り返しのつかない事態を生み、今もかけがえのないものを奪い続けている。一日でも早く一人でも多くの人が前を向いて歩き出せるよう判断してほしい」と述べ、国の責任を認めるよう訴えました。

一方、国は「政府による地震の『長期評価』は信頼性が低く、それに基づいて対策を指示しても事故を防げなかった」と述べ責任を否定しました。

一連の集団訴訟で上告されている4件は16日ですべて審理が終わり、判決は来月にも言い渡される見通しです。

原発事故から11年余り。国の責任について最高裁がどのような統一判断を示すのか注目されます。

集団訴訟の弁護団が会見

最高裁判所の弁論のあと、愛媛の訴訟の原告と上告中のほかの3件の集団訴訟の弁護団が会見を開きました。

16日の弁論で意見陳述した渡部寛志さんは「愛媛に避難した人は当時10歳未満の子どもがいる人が多かった。暮らしていくはずだった場所やそこでの人生を奪われた子どもたちの思いを伝えたかった」と訴えました。

また一緒に弁論に参加した長女の明歩さんは(17)「法廷の席に座るのは初めてでしたが表情や姿勢から裁判官に思いが伝わるよう願っていました。原発事故で私も妹もつらい思いをたくさんしましたが、それを糧にこのあとも頑張っていきたい」と話していました。

全国各地で起こされている集団訴訟のうち22の訴訟の原告団は来月にも示される見通しの最高裁判所の統一判断に向けて、国と東京電力に向けた要求を共同でまとめました。

この中では
▽真摯(しんし)な謝罪のほか
▽安全対策を怠ったことについて当時の幹部などに法的責任を追及すること
それに
▽すべての原発被害者に対して被害実態に即した十分な賠償をすることなどを
求めています。

福島訴訟の弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「過去の事故の責任を問う裁判だったが、次の世代に向け社会がどうあるべきなのかを投げかけた。最高裁がどう考えるのか判決で示してほしい」と話していました。