ウクライナ 東部で戦況こう着か スウェーデンNATO加盟本格化へ

ロシア軍は掌握を目指すウクライナ東部で攻撃を続ける一方、ウクライナ軍の反撃で大きな被害を受けて勢いを失っているという分析が示され、戦況はこう着状態にあるとみられています。一方NATO=北大西洋条約機構を巡っては北欧フィンランドに続きスウェーデンも加盟に向けた手続きを本格化させる見通しで、NATO側とロシア側の対立の構図がより鮮明になっています。

焼い弾か白リン弾 マリウポリで使用か

ウクライナではロシア軍が掌握を目指す東部で激しい攻防が続き、ロシア国防省は15日、各地をミサイルで攻撃し指揮所や対空ミサイルシステムを破壊したなどと発表しました。

またロシア軍の攻撃について東部マリウポリの市長の顧問はSNSに「占領者たちは焼い弾もしくは白リン弾を使用した」というコメントとともに映像を投稿し、ウクライナのメディアは映像は多くの負傷兵が残るアゾフスターリ製鉄所への攻撃をとらえたものだと伝えています。

これに対しウクライナ側はロシア軍が進軍の拠点の1つとしてきたハルキウ州周辺で集落を奪還し、別の前線でも進軍を阻んでいると発表しました。

“戦況はこう着状態” 英国防省

戦況についてイギリス国防省は15日、ロシア軍は2月に投入した地上部隊の3分の1を失ったとみられるとしたうえで「東部のドンバス地域で勢いを失い、進軍は予定より大きく遅れている」としてこう着状態にあるという分析を示しました。

スウェーデン NATO加盟へ動き本格化

一方、ロシアに対抗する動きを強めるNATO=北大西洋条約機構を巡っては北欧フィンランドが加盟の申請を正式に表明したのに続き、スウェーデンも加盟に向けた動きを本格化させ、アンデション首相は会見で「NATOに加盟することが最善だと信じている」と述べました。

スウェーデンは冷戦中も軍事的に中立な立場をとっていて、今回の動きは政策の大きな転換点となります。

これに対しロシアは主導する軍事同盟のCSTO=集団安全保障条約機構の首脳会議を16日に首都モスクワで開催する予定で、NATO側とロシア側の対立の構図がより鮮明になっています。

官房長官「動向を引き続き注視」

松野官房長官は午前の記者会見で「フィンランド、スウェーデン両国のNATO=北大西洋条約機構の加盟については引き続きそれぞれの国の議会で議論が行われていくものと承知している。日本政府はロシアによるウクライナ侵略を受け両国が伝統的な対ロ外交を見直し、NATO加盟に向けた議論を進めていることを理解しており、動向を引き続き注視していく」と述べました。