中国 4月の経済統計が軒並み悪化 厳しい新型コロナ対策で打撃

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国では、先月の消費の動向を示す指標が去年の同じ月と比べて11%減少したほか、工業生産も2年1か月ぶりにマイナスに転じ、各地の厳しい外出制限などによる経済への打撃が広がっています。

中国の国家統計局は16日に先月の主要な経済統計を発表しました。

このうち消費の動向を示す「小売業の売上高」は、去年の同じ月と比べて11.1%減少しました。

2か月連続のマイナスで、減少幅は新型コロナの影響が最初に広がったおととし3月以来の大きさです。

最大の経済都市上海など各地で感染対策として厳しい外出制限がとられた影響で飲食業がマイナス22.7%と大きく悪化したほか、自動車の販売が大きく落ち込んだことなどが要因です。

また、工業生産は外出制限の影響や物流の混乱による部品不足で工場の操業停止や減産が相次いだことから、去年の同じ月から2.9%減少しおととし3月以来、2年1か月ぶりにマイナスに転じました。

さらに主要産業である不動産の開発投資がことし1月から先月までの累計で2.7%のマイナスとなり、去年から冷え込む市況は感染拡大でさらに悪化しています。

中国政府は、ことしの経済成長率をプラス5.5%前後とする目標を掲げていますが、感染拡大によって達成が難しいという指摘が出ているほか、日本への部品供給が滞るなどの影響も出ていて、中国経済の先行きへの警戒感が強まっています。

中国国家統計局「経済運営は多くの困難に直面」

新型コロナの感染拡大で消費や生産などに打撃が広がっている現状について、中国国家統計局の付凌暉報道官は、16日の記者会見で「ことし起きていることの多くが予想を超えていて、経済運営は多くの困難に直面している」と述べました。

一方で「困難は短期的で暫定的なもので、年間を通してみると中国経済が安定的な成長を維持するための有利な条件は少なくない」と述べ、影響は限定的だという認識を強調しました。

そのうえで付報道官は「人民と生命を最優先にして『ゼロコロナ』を堅持する。経済の下押し圧力に直面する中、新たな政策手段を打ち出す」と述べて、景気の下支えを図りながら「ゼロコロナ」政策を維持する方針を改めて示しました。

中国の個人消費 冷え込み続く 店は頭抱える

中国の個人消費は今月に入っても冷え込みが続いています。

上海などで外出制限が続いていることに加えて、首都 北京などでも感染対策が強化されているためです。

北京では当局が感染拡大へ警戒を強める中、世界遺産の故宮をはじめ市内の公園や観光施設の多くが閉鎖されているほか、一部で地下鉄の駅の封鎖や路線バスの運行停止、タクシーの運行制限が実施されています。

さらに商業施設やオフィスビルなどに入る際には、48時間以内のPCR検査の陰性証明を提示することが求められ、ショッピングモールでは飲食店以外の店が閉鎖されて、客の姿はほとんど見られず閑散としていました。

また、今月1日からは市内全域の飲食店で店内の飲食が禁止されていて、売り上げに大きな打撃を与えています。

日系企業も多くある朝陽区の日本料理店では、店内の飲食の禁止を受けて、今月7日から配達や持ち帰りのサービスを始めましたが、売り上げは以前の2割以下に落ち込んでいるといいます。

従業員の給料や店舗の家賃の支払いは変わらない一方、新たに配達業者への手数料などが必要になっていて、措置が解除される見通しもない中、対応に頭を抱えています。

店を経営する三島智之さんは「苦肉の策としてデリバリーも始めましたが、売り上げの悪化はそれではカバーしきれません。ロックダウンはされていませんが、同じように感じますし、期限がいつまでと決まっていないことがもどかしく感じます」と訴えていました。

上海などの都市 企業の操業再開進めるも混乱

中国政府は、厳しい対策が取られている上海などの都市で「職場に戻って生産を再開させる」という意味の“復工復産”というスローガンを掲げて企業の操業再開を進めるとしていますが、現場では混乱が続いています。

上海の日系企業でつくる団体が先月末に行った調査では、現地に工場がある日系企業54社のうちあわせておよそ9割が、全く稼働できていないか、生産が30%以下に落ち込んでいると回答しました。

多くの企業が従業員の確保や物流の回復を課題として挙げています。

上海市にある日系の自動車部品メーカー「上海三国精密機械」では、3月28日に工場がある東部で事前の通告なしに外出制限が始まり、操業停止に追い込まれました。

その後、当局の許可を得て1か月後の先月28日にようやく操業を再開できましたが、従業員の確保などに苦しみ、依然として稼働率は3割程度に落ち込んでいるといいます。

操業再開は、外部との接触を避けるいわゆる「バブル方式」をとることが条件で、従業員が敷地内に泊まり込む必要がありますが、工場に宿泊設備がなく会議室などにテントや寝袋を持ち込んで対応しているため、出勤できている従業員は通常の4分の1以下にとどまっているということです。

メーカーは日本にも部品を供給していますが、港や空港などでの物流の混乱が続いているため、製品の出荷も滞っているといいます。

さらに、素材や部品の調達先のメーカーも操業が止まっていて、中国国内の物流の混乱もあって今後、素材や部品が不足するおそれがあるほか、泊まり込みを余儀なくされている従業員の負担が重くなっていることを懸念しています。

メーカーの野口健一社長は「生産は再開したものの顧客の要求に100%は応えられておらず、納入の日程や数量を調整してもらって何とかつないでいる状況です。外出制限が解除されても今の政策が続く以上、同じようなことが再び起こる可能性はあるし、上海の工場は輸出拠点という位置づけですが、今後のリスク対策を日本の本社も交えて検討していかなければならないと考えています」と話していました。