ロシア軍 川を渡る作戦失敗か 進軍加速の可能性低いとの指摘も

ロシア軍は、ウクライナ東部2州の掌握を目指して攻撃を続けていますが、川を渡る軍事作戦の失敗などで大きな打撃を受けたとみられ、イギリス国防省は「今後30日で進軍が劇的に加速する可能性は低い」と指摘しています。
ウクライナ側は、反撃を一層強める構えで、東部を中心に激しい攻防が続くとみられます。

ロシア国防省は15日、ウクライナ東部のドネツク州の各地を空軍がミサイルで攻撃して、指揮所や武器庫などを破壊したと発表しました。

一方、ウクライナ側は、ロシア軍が進軍の拠点の1つとしてきた東部のハルキウ州で、ウクライナ軍が周辺の集落を次々と奪還するなど反撃を続けているとしています。

また、今月11日ごろ、ロシア軍が東部のルハンシク州で拠点の町に進軍するため州西部を流れるドネツ川を渡ろうとしたところ、ウクライナ側が攻撃して進軍を阻んだとみられています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日「川を渡る作戦の失敗は、ロシアの軍事評論家の間にも衝撃を与えている。ウクライナ軍の砲撃で、ロシア兵は数百人が死亡し、数十台の車両が破壊され、戦術的な判断の失敗が示された」と指摘しています。

イギリス国防省も15日「東部のドンバス地域でのロシア軍は勢いを失い、進軍は予定より大きく遅れている。ロシア軍は、2月に戦闘に関わった地上部隊の3分の1が損失した可能性が高い」として、ことし2月の侵攻からおよそ80日が経過する中、ロシア軍の地上部隊に大きな被害が出ていると分析しています。

そのうえでロシア軍は、河川を渡るための装備品が不足し、無人機もウクライナ側の攻撃にぜい弱だったとしているほか、兵士の士気の低下などが作戦に影響を及ぼしているとし「今後30日で進軍が劇的に加速する可能性は低い」と指摘しています。

ウクライナ側は、反撃を一層強める構えで、東部を中心に激しい攻防が続くとみられます。